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前回までのバッハつながりでついでにレビュー。ここ2年来グールドに次いで気に入っている演奏です。
J.S.バッハ/平均律クラヴィーア曲集第二巻 ピアノ:カール=アンドレアス・コリー (録音:2003年) コリー氏のディスコグラフィーはマイスターミュージックからの国内版がほとんど。ライヴもN響首席チェロの藤森亮一氏やフルーティスト工藤重典氏とのデュオを中心に国内でお目にかかれるピアニスト。名だたる巨匠達に比べれば、確かにスケールは一回り小さく技術も劣るとは思います。でも、そうした突出したスター性は無いけれど、センスのバランス感覚がたいへん優れた人だと感じます。 この平均律第二巻も、第1曲のプレリュードから薫り高い音色に心奪われます。「音楽の始まり」プレリュードと呼ぶに相応しい、静かな期待感を抱かせるような音場をふわっと作り上げるセンスは、目立たないけれど並のものではありません。グールドのような鬼気迫る真実味ではありませんが、「日常の小さな幸せ」を発見したかのようなさりげない、肩肘張らないバッハが展開されていきます。 それは偶数番号のmoll(短調)楽章で際立ちます。グールドのようにmollの深刻さをえぐるようなことがない代わりに、深秋の夕風のごとくセンチメンタルなmollの純粋な美しさが琴線を揺らします。 誤解を恐れずに言うと“最高級のBGM音楽”になり得ると思います。作曲経緯が言わばBGMのためだったといった史実に立つ意味ではなく、純粋にピアノという楽器の美しさを簡潔な楽句の連なりで堪能できるという意味で。 もう1点特筆すべきは録音の音場のとらえ方。木目調のちょっと大きな広間で、よく調整された小ぶりのグランドが伸び伸び鳴っているような、たいへん親密な残響が見事に収録されています。いったいこの心地よい響きはどこぞの名ホールか?と思いきや、なんと「よこすかベイサイドポケット」!入ったことは無いですが、余計なシャンデリアや音響版のない多目的ホールだからこそ、逆に自然で親密な響きを録れたのかもしれないですね。マイスターミュージックのプロデュースセンスにも拍手です。 コリー氏のリリースは毎回気になっているものの、拝聴したのはバッハのアルバムや藤森氏とのフランクetcのみ。一度試聴した坂本龍一の名曲「メリー・クリスマス・ミスター・ローレンス」もたいそうな美演で、シネマ作品集も気になる所。吉松のプレイアデス舞曲集なんて最高に味わい深く弾いてくれるんじゃないかな・・・日本で活躍されている間に実演にも接しておきたいピアニストです。
by mamebito
| 2008-06-13 00:02
| 録音
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