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バッハの無伴奏は、私にとって決定盤がない楽曲の1つ。それは、この作品が多様な解釈に耐え得る奥深さを備えているので、演奏の数だけ新たな魅力を発見できてしまうからだと思っています。そんな中、最近3つのとても魅力的な録音に出会いました。まずはその最先鋒。 J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲(全曲) チェロ:アンヌ・ガスティネル (録音:2007年/使用楽器:Testore (1690年製)) 13年ほど前、グリーンホール相模大野へクリヴィヌ+リヨン国立管が来演した際、彼女が弾くサン=サーンスのコンチェルト1番を聴いて衝撃を受けました。ホール最後方まで全ての音が聴こえる!しかも音色がしっとりと美しくて荒れることがない! ただ、その後来日のニュースがない上にディスクが話題に上がることもなく、受けた衝撃に疑問を抱き始めました。「自分の耳が幼くて素晴しい演奏に聴こえただけなのでは?」と。 しかし、この無伴奏は当時の耳が間違っていなかったことを確信させてくれました。クリアな録音の優秀さも寄与していますが、印象を集約すると下記2点。 ♪楽器を完全に鳴らしきっている ♪音色を完全にコントロールしている さて、4番から聴き始めたのですが、衝撃を楽しむにはベストチョイスだったかもしれません。冒頭、C線のEsの一音からハッとさせられます、この美しく深い音色はなんだ!?音色が極めて“美味”。高音も中音域も低音も、チェロに求めたい理想的な音色が記録されています。このディスク、お世話になっている楽器店のご主人が「楽器が一番嬉しそうに鳴っている無伴奏」と評していたのですが、仰るとおり。その後、ガスティネルBOXを購入して聴いた2000年前後のソナタ集も美演ですが、この無伴奏ほどの音色美には至っていませんでした。言葉で伝えるには限界がありますが、ただ音色をずっと聴いているだけで幸せなディスク、とまとめてしまいましょう。 音色は分かった、では解釈は? 音色と解釈の二面性で論じることは若干抵抗がありますが、あえて述べれば古楽研究の成果やロマンティックな演出のいずれにも傾倒しない、独特で自然なもの。同時期に発売されたケラス盤に通じるものがあります。ヴィブラートは柔軟にコントロールし、時には深々と時には軽快に、けれどボウイングや指示記号は主なテキストと照らして忠実で、様式から逸脱することはありません。とても節度がある。 ただ、あえて言うならば素直すぎて解釈の深みに欠ける部分がないわけではありません。特にテキストが薄くてよりシンプルな舞曲に近い箇所(例えば1番のメヌエットや3番のブーレなど)は、ボウイングも起伏も中庸。レコ芸誌が「今後に期待」と課題提起したのはそうした箇所だと思いますが、それでもちょっとしたテンポの勢いやブレスが新鮮な息吹を与えていると思います。 ヨーロッパでは“デュ・プレの再来”と言われているようですが、技術は確実にジャッキーを上回っていると思います。まだ30代後半、再来日と新たな名盤のリリースが楽しみなチェリストです。
by mamebito
| 2008-05-31 00:01
| 録音
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Comments(3)
Commented
at 2011-07-04 13:25
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented
by
アンヌ ガスティネルが来日!
at 2011-09-03 12:36
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アンヌ ガスティネルが来日!します。どうぞ堪能してください。
あなたの感性を喜びで震撼させます。
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Commented
by
mamebito at 2011-09-04 00:41
>プロアルテムジケ様
ご案内いただきありがとうございました。7/4にも非表示コメントでご案内を頂戴しましたので、本公演は存じ上げております。 リサイタルは後半からなら行けるのですが…ともあれ来日公演のご成功をお祈りしております。
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