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ラ・フォル・ジュルネ2008も閉幕。今年は会期中計11プログラム/4日(有料公演以外も含む)通いました。本当はリアルタイム更新が理想ですが、やはり会期中は難しいのでこうしておさらいすることにします。
さて、その①は初日5/2の公演から。 2008年5月2日(金)17時~ ホールD7 Vn:ドミトリ・マフチン Vc:アレクサンドル・クニャーゼフ Pf:アンドレイ・コロベイニコフ シューベルト/ヴァイオリンとピアノのための幻想曲、アルペジョーネ・ソナタ 幻想曲も美しく隙の無い好演でしたが、以下アルペジョーネのみ言及します。 こんな演奏、子供が起きてる時間に流してはいけません(笑)。それだけ妖艶かつ鬼気迫る、同曲のイメージを覆すような名(迷)演でした。 【第1楽章】 コロベイニコフの導入は極めて正統かつ端正。会場の多くがロストロ+ブリテン級の雄々しく美しい名演への期待を膨らませたことでしょう・・・しかし! スルータストでカスカスのpppで奏されるクニャーゼフのテーマに一瞬耳を疑う。まるで末期患者のあえぎのように息も絶え絶え。例の展開はオクターブ上を多用し、ハイポジションでは走る跳ねる、音色は汚く時に駒に寄りすぎてスルポンティ気味・・・。ハイポジションからのクサビ付16分音符による下降音階を全てアップボウで弾ききったりと、ヴィルティオジティにもあふれ曲芸的ですらある。 極めつけはコーダ。一くさり弾くたびにクニャ氏のあえぎ声がピアノを消さんばかりに会場に響きわたり・・・(笑) これも計算の上なら大した演出ですが、すこぶるアダルトな音楽に化けました。 【第2楽章】 アダルトという意味ではこの楽章がもっとも妖艶だったかもしれない。天使の歌のようなVcのメロディは、ウォッカで泥酔した大男の昔話に耳を傾けるかのように現世的で骨太。ただ、ここではクニャ氏のたくましい岩のような音色が強い説得力を持って会場を満たしていたと思います。あの音色は、全盛期のロストロ並みの武器ですね。 【第3楽章】 思わずホッとする。冒頭の第1主題は聴き慣れたアプローチの範囲内。しかし第2主題でテンポが上がるや否や、凄惨な光景に切り替わります(笑) おそらく通常の1.5倍の速さで、タカタカ×4タカタカタタタタターと突き進みます、技術の限界ではないかと思うぐらい。そして第1楽章同様、通常上らないところでオクターブ上がっては音色を乱します。 極めつけは1楽章と同様にコーダ。途中から全てオクターブのフラジオで、とんでもない高音でメロディを奏でます。耳と目を疑う光景・・・(笑) そしてフィニッシュのpizz分散和音は3つばらしてねっとりと。。割れんばかりの拍手が続きました。 総括するに、アルペジョーネ・ソナタにまつわるレッテル(優美・癒し・女性的etc)を払拭して本来の姿を曝そうとする意図だったのかもしれません。当時でもマニアックな楽器だったアルペジョーネに、フランツ君の内向的美感を詰め込んだ作曲経緯を思えば、今回のクニャ氏の演奏は、オリジナル楽器という物理的側面からのアプローチよりもむしろ原典に近付いた再現だったのかもしれない、と今になってみれば思えなくもありません(笑) まだ自分の中で評価が定まりませんが、稀有の演奏を聴いたことだけは確か。いずれ録音が出ることを心待ちにします。 それにしても、リハも少ない中でクニャ氏に完璧に沿い、時に対峙したコロ氏のピアノは相当のものだったと思いますよ。拍手!
by mamebito
| 2008-05-10 00:38
| LFJ
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