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梅田敏明+東京交響楽団 Vn.川久保賜紀 ♪J.S.バッハ/6声のリチェルカーレ(ウェーベルン編) ♪バーバー/ヴァイオリン協奏曲 ♪ブラームス/交響曲第4番 世間としては地味な公演だったかもしれないけれど、梅田先生がプロ・オーケストラを振る機会を聴きたかったところ、在京で最も好きな東響と魅力的なプログラムの組合せは理想的だった。 件の梅田先生のタクトは、この公演のほぼ2年前、藝大奏楽堂で久しぶりに拝見した時に「おや?」と思った。以前から手数が多いマエストロではなかったけれど、もっと大きなアクションを用いていた印象があった。ところが、力みがない立ち姿を崩すことなく、複雑な作品(オケコン)を最低限の所作で捌いていくタクトに変貌されていた。少なくとも自分にはそう思えた。出てくる音楽も過剰な表現が削ぎ落され、自然と学生オケは燃焼し、自発性を引き出した名演奏のお手本のようだった。テンポよく上品なカーテンコールもとても感じが良かった。 その時に比べると、この日はブラームスで一部大振りも用いた。けれどやはり手数は洗練されており、汗臭さや体臭を感じさせずに音楽へ熱をこめるスタイルがとても好ましかった。目立つ特徴や個性はないかもしれない。けれど客観的にも主観的にも過ぎず、ソーシャルディスタンスではないけれど最適な距離感で、作品の魅力を純度高く表現した優れたブラ4だと思った。そしてこのご時世に、14型フルオーケストラによるドイツ風の充実したサウンドは耳に美味しかった。 バーバーは好きなヴァイオリン協奏曲の1つ。特に第2楽章のカンタービレは、洋の東西で言えば東方のメンタリティを揺さぶられる印象を持っている。個人的には、伊福部『シンフォニア・タプカーラ』の第2楽章に似ていると感じる。この日の演奏は、米国映画音楽のようにダイナミックな第1楽章も、リズミカルで尖がった第3楽章も、レガート気味で面取りしたようなアプローチ。どちらかというと筋肉質で機能的な演奏に聴き慣れてきたが、こういう温もりを感じさせるバーバーもなかなかよいものだと思った。休憩時間、お隣(この日はディスタンスではなかった!)の見ず知らずのお姉様方が「知らなかったけどいい曲よねぇ」「ねぇ、ほんとに」と上品に語られていらした。作品の既知か未知かを問わず、この会話がこの日の演奏の魅力を最も端的に表しているよな、と心の中で深く頷いた。
by mamebito
| 2021-01-03 00:19
| コンサートレビュー
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