タグ
レビュー(602)
オーケストラ(412) LFJ(76) ピアノ(62) 室内楽(58) アマチュア(52) チェロ(50) 都響(44) 弦楽四重奏(44) N響(36) CD(35) 東響(28) 新日フィル(26) 交響曲(23) ヴァイオリン(19) 以前の記事
最新のコメント
最新のトラックバック
お気に入りブログ
外部リンク
記事ランキング
検索
最新の記事
ブログジャンル
|
2018年7月29日(日)14:00~ ミューザ川崎シンフォニーホール
高関健+東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 Pf.シュテファン・ヴラダー ♪ウェーバー/歌劇「魔弾の射手」序曲 ♪ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番「皇帝」 ♪リスト/コンソレーション(アンコール) ♪ブラームス/交響曲第4番、ハンガリー舞曲第1番(アンコール) 9年前の夏、5年目のサマーミューザで、飯守先生とシティフィルが奏でたブルックナーの7番は見事な演奏だった。当時、団員として奏でていた友人も珍しく少し紅潮して「今日は本当にうまくいった」と終演後にほころんでいたことが印象に残っている。 もちろん、同じ演奏会企画で同じオーケストラならば、同じような充実を味わえる確証はない。ただ、シティフィルは常トラが優れているし、若い優秀な奏者も加わってきて、一昔前とは一線を画する楽団になっていると認識しており、この日も世界的名手を迎えた直球ドイツもの勝負に期待して足を運んだのだった。 まず、前日にティアラのマチネでマルタン+マーラー4番という、なかなか精神力と仕込みを要する本番をこなしているので、この日の演奏会に向けた準備が練りあがっていなかったことが推測される。特にトラが多いオケでは、よほどトラがうまく馴染んでくれないと、そもそもシティフィルというオーケストラとしての体をなさない、とまでは言わないがもう少しまとめて来ようよというサウンドで終わってしまうものだ。この日の高関先生+シティフィルは残念ながらそのパターンだったとお見受けした。 魔弾は、出だしが揃わないといった重箱の隅ではなく、そもそもこの作品をどうしたいのかという、音の勢いや表現の方向が合わない部分が散見され、ずいぶん取っ散らかり腰が据わらないまま終わった。ブラ4は、高関先生が巧みに盛り上げて、熱演という形で一つの成果を見たが、その熱の込め方にもパート間で随分と差があったように見受けられた。また、第2楽章などの繊細な表現で、木管の音程・音質・ニュアンスが合わない部分が興を殺いだ。ヴァイオリンパート内にも、全員が前のめりならば個々の個性が混じり合い集合するからよいものの、攻める人や及び腰の人や様子見の人が混在していて、良いと思ったら次の瞬間にはまた求心力を欠いたり、となかなか難しかった。 ただ、演奏会としてはヴラダーのピアノを安価に楽しめただけでも満足だった。単に華やかなばかりではない、様々な内面を包含した祝祭美をタッチに宿して両端楽章を雄弁に語ると、第2楽章はノスタルジーに溺れず格調高いカンタービレを紡いだ。圧巻はコンソレーション、だいぶ昔にも誰かのアンコールで聴いたが、ホールの空気がギュッと舞台のピアノに引き寄せられ魅了されている様子が手に取るように感じられた。こんなに衒いなく美しい作品だったかと。
by mamebito
| 2018-09-25 00:01
| コンサートレビュー
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||