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2017年11月9日(木)19:00~ 横浜みなとみらいホール ヘルベルト・ブロムシュテット+ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 Vn.レオニダス・カヴァコス ♪ブラームス/ヴァイオリン協奏曲 ♪J.S.バッハ/無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番~サラバンド(アンコール) ♪シューベルト/交響曲第8番「ザ・グレイト」 このBlogを始めた当初は、聴いた公演の年間ベスト10やベスト5をまとめていたのだけれど、個人の演奏会鑑賞に順位付けし難いことに気付いてからは、特に印象に残った5つの演奏会をピックアップして振返ることにしている。ただ、2016年は圧倒的に感動してしまった公演、つまり一番印象に残った1つの公演があった。ブロムシュテットとバンベルク響のオペラシティ公演だった。 その詳細は当時の感想に譲るとして、2017年も元気に来日してくれたマエストロは、10年前までポストにあり、数々の名演奏と言われるものを残したゲヴァントハウス管を帯同した。しかも、同団が初演した有名作品を並べたプログラムで。 昨年聴いたバンベルク響は、ヴィブラートを抑制した透明感を基調としながらも、持ち前のたくましさと奥深さが同居したサウンドを実現しており、そこに宿るニュアンスが好ましすぎて感嘆したのだった。LGOは、独特の綿糸、ではなく絹糸のような音色美を保ちつつ同様のスタイルを実現しており、全く筆舌に尽くしがたい音色を湛えていた。ただ、バンベルクに比べると響きがコンパクトで、前者ほど迫ってくるような感覚には至らなかった。それには、以前からあまり好みではないみなとみらいホールの音響(無駄に大きく空虚に感じる…)が影響していた可能性はある。 もう一つ、昨年のバンベルク程には忘れ難い体験に至らなかったのは、演奏に所々ウォーミングやアジャストの途中といった様子を感じたことも影響している。合奏が微かに噛み合わず、思いきった発音を控えて楽員の皆さんが寄り添う雰囲気を感じる時があった。また、おそらくオーボエ1番さんはリードが重かったのではないだろうか、ライプツィヒでも聴いた耳馴染んだ演奏に比べると、オーボエの伸びが弱く感じたりもした。 さらに、マエストロのタクトにも、一年前とは僅かに異なるものを感じた。ごく稀に、体が思い通り動かない時があったのではないだろうか。昨年は、手数は少ないものの、表現のため以外に余計な力が抜けて楽団と一体化して見えたのだけれど、この日は時々ご自身を鼓舞するかのように力を込めたり、意図したのとは少々異なる音が出てきたのか冷静に手をかざすように見える時があった。 以上、いずれもごく僅かな「おや?」であり、聴く側の耳や目の疲労のせいだったり、それこそホールの特性でそう感じられただけなのかもしれない。勘違いかもしれない。先にネガティブな言葉を並べてしまったけれど、この日も印象に深く残る、忘れられない演奏会のひとつになったことは確かだ。 ブラームスはソロが熱演。以前は達者ながら線が細く感じられたカヴァコスが、美しい音色はそのままにかなりアグレッシブに攻めており、しかもしなやかで驚くほど巧い。何よりもオーケストラの音色が澄んで美しく、上述のとおり木管のバランスはやや気になったものの、大好きな第2楽章はマエストロの優しいタクトと相まって、視覚と聴覚の両方から涙腺を刺激した。アンコールを1曲疲労したカヴァコスは、熱演による疲労で終演後のサイン会をキャンセルしたとのこと。 休憩を挟んだ「グレイト」、これはもう間違いなく、今までLiveで聴いた同曲の最も忘れられない演奏になった。第2楽章、あれほど美しい件のチェロは初めて聴いた。あまりの美しさに、その後第2楽章の間ずっと、あのフレーズの感触が残像のようにずっと感じられた。ブロムシュテットは、他の作品と同様、記譜のリピートを忠実に実施してくれたのも嬉しかった。こんな演奏なら三度でも四度でもリピートしてほしかった(笑)。そんな「グレイト」に出会ったのは、アーノンクール以来のことだ。特に第2楽章以降、演奏も噛み合ってきて、遂にこの楽団の本気の音色を聴くことができた。 この1年でまたお歳を召したように感じたマエストロだったが、終演後はいつもどおりに景気よく楽員さんを称え、ソロ・カーテンコールにも応えてくれた。思えばもう何年も毎年拝聴しているブロムシュテットお爺さん、来年もどうぞ元気に日本へいらしてくださいますよう。久しぶりに体の芯から温まる演奏会だった。
by mamebito
| 2018-01-25 00:02
| コンサートレビュー
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