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2017年7月29日(土)14:00~ すみだトリフォニーホール 甲田潤+すみだ少年少女合唱団 Pf.上岡敏之 上岡敏之+新日本フィルハーモニー交響楽団 Sop.安井陽子 Ten.絹川文仁 Bar.青山貴 Chor.栗友会合唱団、すみだ少年少女合唱団 ♪ペルト/子どもの頃からの歌 ♪オルフ/カルミナ・ブラーナ ちょっと変態チックな曲「カルミナ・ブラーナ」を、良い意味で同様の賛辞を送られることがある上岡マエストロが振った。前半が、妙な編曲もの(展覧会の絵やラフマニノフPコンNo.2の合唱編とか…)ではなく作曲家直筆の作品を歌うというのも、児童合唱好きとしては惹かれた。 ペルト作品は、良くも悪くもペルトらしくなかった。若書きの児童合唱曲集はまさにエストニア童謡集の趣きで、好んで聴く作曲家後年の器楽作品や合唱作品のような深遠な情緒は感得しなかった。他方で、多くの作品が日本の童謡に通じるリズム感や和声感を備えていて、その朗らかな雰囲気は快かった。すみだの児童合唱団が優秀なことは存じていて、いつぞやここトリフォニーで聴いた「ふるさと」はあまりの純粋さ懐かしさに全ての思考が止まり聴き入ったことが忘れられない。この日の作品は、日本の童謡に通じるといってもやはり外国作品、「ふるさと」ほど身体に入った歌唱は聴けなかったものの、良い意味で日本の子ども達の温かい声が好ましかった。時々挿入されるソロの中に、音程が安定して声が緊張せずよく伸びてハッとさせられる女の子がいて印象的だった。 期待のオルフは、ユニークな演出表現を用いたり世俗性を強調したりせず、この作品の純音楽的な真価に迫ろうとするシリアスな演奏だった。全体的に金管・打楽器を絞って鳴らし、シンプルなスコアを弦楽・木管主体に表すものだから、古典的なまでの上品さが備わった。溜めやルバートは僅少で、前向きにキビキビと音楽を運んで潔い。カルミナ・ブラーナがこのような表現に耐え得る作品であることは大きな発見であり、それは偏に上岡マエストロの魔法のような音楽構築がもたらした成果だと思った。これで女声陣とホルンパートがもう少し安定していたら…。また、テノール絹川さんの件の酔っ払いは、思い切り演じて一見清々しいものの、あまりにも恣意的であり一線を超えてしまっていた。高くてちょっと怖いオルガン席にお行儀よく座して、咳を懸命に我慢している子もいた児童合唱の方が、よほど健気でこの日の演奏に適っていた。
by mamebito
| 2018-01-13 01:46
| コンサートレビュー
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