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2017年2月27日(月)19:00~ えびらホール Vn.廣海史帆、髙橋奈緒 Vc.懸田貴嗣 ♪ボッケリーニ/弦楽三重奏曲G.116、G.104、G.117、G.102、ヴァイオリンのための二重奏曲G.56 ♪ベーケ/弦楽三重奏曲第4番、第6番 2018年2月の予告、ではなく2017年の振り返り。チェロ奏者の懸田さんと、若いヴァイオリン奏者お二人による弦楽三重奏企画が立ち上がった。旗揚げ公演だけに旗の台…という話は楽しいトークからも聞こえてこなかったけれど、初めてお邪魔したえびらホールは、東急旗の台駅から徒歩5分の閑静な住宅街にあった。親密なエントランスを抜けると、白を基調として清潔感のある天井の高い小空間が現れる。客席は数十席で、舞台はなく奥行きも狭いため、演奏者と鑑賞者は一体となる。柔らかさと清涼感が同居する響きは、この箱で今まで中心的に催されてきた古楽系の音楽にぴったりだと思った。 前半は長調の作品を中心に、まずボッケリーニの朗らかさと美しさを堪能。Vnの片方が時折最低弦でVcと内声を奏でるあたり、VaとVcによる中低音域に慣れた耳にはバス声部の軽快さがとても新鮮に聴こえる。懸田さんのVcはホールのアコースティックを味方に、たいへん豊かな音量で音楽全体を形作っていく。この時代の音楽を低音が支配していたことを証明する演奏に違いなかった。 後半は短調の作品でボッケリーニのカッコよさにも焦点を当てる。そしてなかなかの超絶技巧が求められる。それを、レスポンスが早いとは言えず、角度や圧力を少しでも誤ると思いどおりに鳴ってくれない裸ガット弦を用いて、鮮やかに捌いてしまうのだから快い。いや、「捌く」というと無機的で不適切かもしれない。技巧的部分においても表情のグラデーションが多彩で、1つ1つの音が個々に生きているように聴こえるのは、裸ガット弦の魅力を存分に引き出せるアーティストによる演奏の妙味に他ならなかった。 懸田さんは「第1回で終わりかもしれない」と笑いを誘ったけれど、とんでもない。このメンバーこのホールでボッケリーニを走破した後は、楽器編成は変わるけれどモーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト…と弦楽三重奏企画の拡大に期待したくなる演奏会だった。
by mamebito
| 2017-12-23 09:16
| コンサートレビュー
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