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2016年9月14日(水)19:00~ 東京オペラシティコンサートホール
ハーゲン弦楽四重奏団 ♪J.S.バッハ/フーガの技法~コントラプンクトゥス1~4 ♪ショスタコーヴィチ/弦楽四重奏曲第8番 ♪ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第13番、大フーガ 最近毎年来日してくれるハーゲンQ。ミューザと青山音楽記念館、大きく環境の異なる二公演で彼らの凄みを体感した2015年。今年は希少な東京公演を拝聴して、昨年を上回る異世界の演奏に畏れ入るばかりだった。 2013年、東京Qが使用していた「パガニーニ・クァルテット」に楽器を総入替えしたハーゲンQ。太くてパワーが前面に出がちだったスタイルから、音色や内向きの表現の幅が一気に拡張した印象を持った。特にクレメンスのチェロはイメージがだいぶ変わった。そんな彼らが奏でるこの日のベートーヴェンは、風が吹いて涙するぐらい繊細な人だったらしばらく立ち上がれないぐらい、内省的な表情に富む演奏だったのではないだろうか。とかく大フーガは、超絶技巧や熱演の類がもてはやされることが多い気がするのだけれど、そういう価値観の延長線上を超えた世界で奏でられたと感じた。Op.130の中間楽章が、過ぎた日々を懐かしむようで、それでいて押し付けがましい説明口調にならない。こんなに聴き手のイマジネーションに委ねながら、今までOp.130から感じ得なかった景色が聴こえることに驚くばかりだった。ルーカスさんが時々変な音出すのはご愛嬌だけれど(笑)。 前半のショスタコーヴィチも、過剰な熱量が排除された、良い意味で冷徹な演奏。中間ワルツの冷たさに背筋がゾクゾクするのは、まさに作曲者が意図した表現ではなかろうか。フーガの技法は、楽器が変わる前の彼らの演奏を、確かフィリアで聴いた記憶がある。当時よりも一段とバッハを感じる演奏だった。 ハーゲンQと同時代を生きて毎年のように演奏に接することができる幸運をかみ締めた一夜だった。願わくば、ベートーヴェンやモーツァルト中心の名曲ばかりではなく、欧州で取り上げているであろう様々な作品を、彼らの演奏で聴きたい。
by mamebito
| 2017-01-02 13:46
| コンサートレビュー
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