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2016年2月26日(金)19:00~
東京オペラシティコンサートホール 鈴木雅明+バッハ・コレギウム・ジャパン Sop.ハナ・ブラシコヴァ、Alt.青木洋也、Ten.チャールズ・ダニエルズ、 Bas.ロデリック・ウィリアムズ、Org.鈴木優人 ♪J.S.バッハ/オルガン協奏曲 BWV592、カンタータ「おのが幸を讃えよ、祝されしザクセン」BWV215、カンタータ「しのび流れよ、戯るる波」BWV206 BCJの定期公演は、2008年9月以来だから7年半ぶり。その間に教会カンタータ全曲演奏の偉業を遂げて、この日は世俗カンタータ・シリーズの第7回だ。優人さんのオルガンソロと、 Hosanna ! Hosanna ! を聴きたかったのだが、残念ながら間に合わず、後半の4つの川の物語から拝聴した。 まず、休憩後、早口ながら淀みなく聴き取りやすい鈴木雅明さんのトークが秀逸。的を絞った情報を詰め込みながら駄洒落で緩急をつけ簡潔に編まれたトークに、マエストロの類稀な知性を垣間見た気がした。 ライプツィヒのプライセ川を歌ったソプラノのブラシコヴァさんが美しかった。表情も十分に込めながら、嫌味な感じがしないのがいい。バスのウィリアムズさんも端正で好みだ。器楽では、寺神戸さんのヴァイオリン・ソロが緻密でさすがの名演奏。横笛三人娘といった風の、菅・前田・菊池のお三方による、しっとりと良く馴染むフルートも美しかった。最近しばしば通奏低音を担う武澤さんのチェロは、豊かな音量が魅力だ。ザクセンで全力を使い切ったか、Tpは若干発音の精度を欠いたものの、バロック・ティンパニ菅原さんと組むリズムやくさびは勇ましく快かった。総じて声楽との器楽のバランスは絶妙で、巷のオーケストラやアンサンブルでは聴き得ない、揺ぎ無い関係性が音楽に滲み出ていると感じた。こうした作品を演奏する世界超一級の団体を日常的に聴けることは、やはり最高の贅沢だと改めて思ったのだった。 2008年に比べるとメンバーの変遷が目立つが、音楽にみなぎる力やサウンドの風合いは良い意味で変わっていなかったBCJ。翻って自分自身は、7年半前に同じホールでカンタータを聴いていた時には想像しなかった変化を経てきたわけだけれど、BCJのバッハに揺さぶられる内面は、懐かしいほど変わっていないことに思い当たる。まるで禅問答だけれど、変化しても変わらないものがある。それはBWV206で競い合った4つの川が、結局は地球を潤す1つの海に還流していくということと通じるような気がした。
by mamebito
| 2016-02-28 01:52
| コンサートレビュー
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