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2016年1月31日(日)15:30~ オーチャードホール
アロンドラ・デ・ラ・パーラ+NHK交響楽団 Vc.ナレク・アフナジャリャン ♪ドビュッシー/牧神の午後への前奏曲 ♪ショスタコーヴィチ/チェロ協奏曲第1番 ♪ソッリマ/ラメンタツィオ(アンコール) ♪ストラヴィンスキー/バレエ音楽「春の祭典」 Bunkamuraのサイトには、デ・ラ・パーラさんはリズムが持ち味の指揮者といった紹介文があった。ただこの日の演奏では、リズムを際立って魅力的に聴かせたわけでもなく、楽団に対してリズムを牽引する場面もあまりなかったように見えた。むしろ素直なカンタービレ、横の表現に長けていそうな印象を持った。テンポを作ったり流れを作るよりも、既に鳴っているオーケストラに熱を加えたり、既にできている流れの中で色彩を施すのがお上手な指揮者ではないかと見た。 そんなデ・ラ・パーラさんが、N響に初登壇し初めて挑戦した春祭は、合奏が安全な箇所では思い切りの良いアタックが痛快。カンタービレは全体に開放的で、伸びやかな表情が印象的な演奏だった。その反面、散漫な響きに聴こえる時もあり、それは演奏全体に一本調子な印象を与えた。これには、オーチャードホールの特性が多分に影響していたのではないだろうか。 例えば、音符が詰まった速い全奏で、舞台上の反響音がこだまして、調子が悪いブラウン管テレビのゴースト(・・・死語?)でも観るように、合奏の焦点が定まらずに聴こえる場面があった。特に下手後方にベルが向いたホルンと、上手上方にベルが向いたチューバは、舞台上で発音が乱反響するらしい。各パート、自分達のリズムとアイコンタクトを信じて、耳に惑わされないよう、守勢を保った合奏が展開された。 デ・ラ・パーラさんも察してか、もっと色々やりたかっただろうけれど、楽団の様子を見ながら所々で熱を加えたり色を足そうと試みていた。ただ、テンポを作る際のコミュニケーションが噛み合っていないのか、曲の開始で楽団があたふたする場面がみられた。「大地への口づけ」や「いけにえの踊り」がそうで、彼女が守勢の楽団を攻勢に誘おうとすると(例えば曲間を縮めたり速度を上げたりすると)、必ずと言っていいほどホルンが一瞬崩れたりヴァイオリンの誰かが飛び出したりした。これでは、指揮者が攻めたくても攻めきれないし、楽団も乗るに乗れないだろう。全てがホールのせいではないとは思うものの、様々に難易度の高いコンディションの中でアジャストしながら纏め上げられた春祭だった。 アフナジャリャンを迎えたタコ1は、第1楽章でソロの鳴りが少々浅かったものの、第2楽章のカンタービレから高音を中心に鳴りが増し、第3楽章のカデンツァからは集中力が高く伸びやかな彼の本領発揮。音楽は切実で求心的な深みを増していった。終楽章は過度にスピードを求めず、弾き飛ばさずに、克明で鮮やかな熱演となった。これに対するオーケストラは、管楽器のソロが上手いものの全体にぬるい。楽章を追うごとに凄みを増していくアフナジャリャンにどんどん差を空けられて、しまいには周回遅れで何とか同時にゴールを切ったような印象だった。 この日、最も喝采をさらったのは、アフナジャリャンのアンコール。ソッリマのラメンタツィオは、とにかく技巧がキレッキレ。しかも歌声の音程と声色がチェロとよく馴染むこと。あまりに圧倒的なパフォーマンスを目の当たりにし、自分が余暇に弾いているチェロとは全く別の楽器のように思えたのだった。
by mamebito
| 2016-02-07 00:54
| コンサートレビュー
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Comments(3)
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morpheus-cello at 2016-02-07 07:20
おはようございます🌟私も彼のラメンタチオを2回、聴きましたが、彼の為の曲?と思った程の素晴らしさでした。
ショスタコーヴィチのコンチェルト、聴いてみたかったです。レポートありがとうございます。
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mamebito at 2016-02-07 12:29
>morpheus-celloさん
2度も!ということは十八番なんでしょうね。先日のオーチャードも、まさに彼のための曲というほど、体に入った演奏でした。 ところで上森さん、今日はみよしシンフォニエッタにご出演ですね。以前から神出鬼没だと思っていましたが、本当に思わぬところお名前を見かけることが多いです。
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by
morpheus-cello at 2016-02-09 06:48
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