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2016年1月16日(土)14:00~
東京オペラシティコンサートホール 鈴木秀美+東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 ♪ハイドン/交響曲第103番「太鼓連打」 ♪シューベルト/交響曲第8番「ザ・グレート」 紀尾井ホールだったらよかったのに、と思った。 1,600人入るオペラシティが3割も埋まっていないように見えた。その理由は、他の有力公演が重なったなど複合的だとは思う。主催側では如何ともし難かったかもしれないけれど、閑散とした舞台側からの景色と拍手の響きは寂しさを否定できない。袖から出て舞台中央で客席を向いた秀美さん、「慣れっこだけどやっぱり少ないねえ」とでもいうような、一瞬の寂しさが背中に差した気がした。その陰を吹き飛ばすように、拍手が収まらない内に菅原さんのバロック・ティンパニが轟く。舞台に向き直ったマエストロはニヤリ。 演奏は、客席の入りとは対照的に、賑々しく精彩に富んだ。ハイドンの冒頭、ティンパニのカデンツァが長く即興的なのは想定内の演出とはいえ、目の当たりにすると痛快だ。轟音の底からにじみ出て来る弦楽の序奏は、デモーニッシュな効果抜群。続くAllegroは、リズムが立って、しかも速度やアタックで押すのではなく、スイングを失わないところがいい。第2楽章のマーチは歩ける速度、往年の巨匠的演奏とは一線を画して速い。ロンドンの聴衆はすぐ居眠りしてしまうから、こうでなくては。後半楽章でもリズムが際立つ。秀美さんが振ったハイドンの全てを聴いたわけではないけれど、きっとその中では屈指の壮麗なフィナーレを築いた。 ところで、この日の弦楽の編成は独特だった。ハイドンもシューベルトも、1stVnと2ndVnが12本に対し、VaとVcとCbが各6本。高音と低音が堅固な枠組みを作る中で、薄めの中声部が清澄なカンタービレを奏でた。グレイトは、耳を洗われる解釈だった。冒頭のホルンからフレージングがクッキリ。均等に吹奏して気高さを気取る浅はかさとは一線を隠した。秀美さんのテンポは、ここでも過度なスピード狂や刺激狂に陥らない。ハイドンと同様にシューベルトでも、コントラバスのスイングがヴンヴンと音楽を推し進めた。ちなみに、ほぼ全てのリピートを実施したので、時間的には少々長い演奏だった。そこに質的な長さを感じなかったのは、秀美さんの情報量豊富なタクトのおかげに違いなかった。 総じて、秀美さんが繰り広げる音楽は聴き所が満載で、愉悦が通底した魅力的なものだった。ただ、マエストロの音楽を形にする合奏体には、物足りなさを禁じ得なかった。管楽器は健闘が光った。オーボエは青々しくも巧みだったし、トロンボーンはパリッと引き締まっていたし、ホルンは響きに輝きが乏しいながらも安定していた。他方、チェロは首席の富岡さんが気を吐くものの、グレイト第2楽章の見せ場を筆頭に一体感を欠く場面が痛かった。舞台最後方に並んだ6本のコントラバスは強力だったものの、パート内でのバラつきが目立ち、しばしば模糊とした低音を提供するに留まった。グレイトでは、わずかに符点が緩く滑りがちなパートが散見され、そのたびにコンマスの戸澤氏や達者なオーボエ氏が滑り止めに注力されていたように見えた。 約1年半前のかなフィルほどには、秀美さんを迎えて前のめりに取り組む感じがシティフィルから伝わって来ないと感じたのは自分だけだろうか。もしもその理由が閑散とした客席にあるのならば、紀尾井ホールぐらいの規模の箱がきっちり埋まった状態で、この演奏を聴いてみたかったと思ったのだった。
by mamebito
| 2016-01-24 23:11
| コンサートレビュー
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Comments(2)
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by
morpheus-cello at 2016-01-24 23:23
うわ~♪♬♪♬♪
東京にいたら絶対に聴きに行くのに…という内容の演奏会ですね。鈴木秀美さんの指揮、拝見したことがありません。きっと素晴らしいのでしょうね!と思いながら読ませていただきました。 オペラシティには行ったことがあるのですが、縦長の会場で3割はさみしいです…。
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by
mamebito at 2016-01-24 23:39
>morpheus-celloさん
ですよね?同じ時間にハーディングが戦争レクイエムを振るとか、確かに競合はあったのですが、それにしても秀美さんでこの曲目ならば聴きにいきますよねえ。 自分は京響も好きなので、以前秀美さんが客演されてエロイカを振った時、よほど遠征しようかと思いました。 2015年はOLCがいずみH公演をしましたね。チェリストとしても指揮者としても、自分は秀美さんの音楽が大好きです。
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