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2015年11月27日(金)19:00~
東京オペラシティコンサートホール オッコ・カム+ラハティ交響楽団 Vn.ペッテリ・イーヴォネン ♪交響曲第3番、ヴァイオリン協奏曲、交響曲第4番 ~以下、アンコール~ ♪イザイ/無伴奏Vnソナタ第3番「バラード」 ♪悲しきワルツ ♪組曲「クリスティアン二世」~ミュゼット ♪鶴のいる風景 カム+ラハティ響のチクルス2日目、本編だけでもボリュームたっぷりのところ、アンコールにオーケストラが長めの3曲をチョイスした上、ヴァイオリンのイーヴォネンがまさかのバラード丸々1曲を奏でたので、終演は21:40をまわった。オーケストラの状態は昨日より落ち着いて、このコンビの美点が活きた演奏を聴けたように思った。 このコンビの美点、素朴で和気藹々とした雰囲気がよく馴染んだのは、3番だった。演奏会に先駆けて国内リリースされた全集録音でも、第3番は温かくよい味が出ていたし、マエストロ・カムはインタビューで特に好んでいる交響曲とも答えていた。 カムはいつも、指揮台に座るや否や何気なくすぐにタクトを振り下ろす。そのせいか前日の2番では、冒頭の緊張感が希薄で何となく始まった感じが解せなかったのだけれど、この日の3番は低弦に対してクッキリと始点を示し、粒の立った低弦のリズムによって精彩に富む演奏が開始された。続いてヴィオラが重なり全奏へとふわりと広がっていき美しい。その後に続くチェロのソリも柔らかくよく歌い見事。第2楽章では、歌いつがれるメロディの洒脱と素朴のバランスが絶妙。基本的にインテンポでサラサラと進むカムの音楽作りが奏功してか、楽員の皆さんの積極的なカンタービレが程よく後景に流れていき、憧れを湛えた作品のメンタリティーにもマッチしていたと思った。 後半の第4番も同じ傾向の、虚飾を廃した真摯な演奏だったものの、インテンポすぎるし速すぎるように思えた。それは、自分が第4番を十分理解できていないことも影響しているとは思う。様々な旋律と動機の断片が、突如現れては消え、また形を変えて現れるこの作品の様相に、自分はまだ必然的な繋がりを見出せていない面がある。すると、ある動機をもう少し際立たせたり山谷を作るといった分かり易さを欲してしまうのだから、これは自分の耳の開拓不足に違いない。とはいえ、所々オケに必死感が漂ってしまい、この作品の底知れなさと神秘性が損なわれていた気はした。 3曲のアンコールには名曲が2つ。「悲しきワルツ」は3月のサロネンしかり、やはりエストニアの親子のような過剰な変化を施さず、自然体の内に冷めた熱気を聴かせてくれて見事だった。そして「鶴のいる風景」は、クラリネット氏の渾身のソロに喝采。20年ほど前、ラトルがバーミンガムと来日した時にこの曲で演奏会を締め括り、熱狂しないアンコールの妙に感じ入ったことを思い出した。 中プロ、Vn協奏曲を奏でたイーヴォネンは、最初の2分程ハッとするほど繊細で息をのんだ。オーケストラも連られて透き通るように聴こえ、もしかしたら彼が精緻なラハティ響のDNAを呼び覚ますのではないか?と思っていたらどんどん粗が出始めた。大崩はしないものの、上がりきらない&下がりきらない音程が苦しい。第3楽章など技術的に厳しいものがあった。挙句、アンコールにイザイのバラードを熱演。イブラギモヴァのイザイを目の前で聴いた耳にとっては、残念ながらしんどい時間としか言えなかった。
by mamebito
| 2015-12-29 00:09
| コンサートレビュー
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