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2015年9月27日(日)15:00~
青山音楽記念館バロックザール ハーゲン弦楽四重奏団 ♪モーツァルト/弦楽四重奏曲第17番「狩」、18番、19番「不協和音」、14番~第1楽章(アンコール) 偶然京都へ行く日に、ハーゲンQも前日の川崎から松尾へいらしていた。ところで、彼らのスケジュールはハードだ。神奈川→京都→東京→リハーサル?→大阪→東京×4、という毎日。旅慣れた世界の四重奏団と言えど、日替わりで本州の東西を行き来する日程には、もう少しまとめて組んでくれないか、と言いたくもなるのではないだろうか。 初めてお邪魔したバロックザールは、200席と小規模ながら天上が高く、どの席でも直接音と間接音がバランスよくブレンドしそうな優れたホールだった。そのサイズ(ミューザの約1/10)ゆえだろうか、演奏の印象は昨日と今日で異なるものとなった。 川崎では変化を実感したはずだった。ところが京都では「聴き馴染んだハーゲンQだ!」と思ってしまった。鑑賞する空間と座る位置によって聴こえ方が大きく異なる、と言い切るのはこの場合傲慢だ。自分の耳と脳が、先入観と状況にいかに左右されやすいか思い知るべきだろう。とはいえ、新進気鋭と言われた頃のイケイケバリバリな演奏そのままだったわけではない。時を経て、楽器の変更を経て、そして場に応じて、アウトプットは変化する。つまり程度の問題で、ハーゲンQそのものの変質は、川崎公演で思ったほどに大きくはなかったということだ。 ここで1つ言及しておきたいのが、1stVnのキャラクターだ。ルーカスの音色は他3人よりも硬く、しかもパワーがあり、時々馴染まずに突出して聴こえた。それは、楽器変更以前から彼の特徴だった気もするが、この日は顕著だった。そして、この傾向はそのまま、「パガニーニ・クァルテット」の前使用者だった東京クヮルテットの1stVn、マーティン・ビーヴァーに合致する。つまり、1727年製パガニーニ自体の特性として、他の3挺よりも強く硬いのではないだろうか。そうだとしたら、2013年5月に真後ろから東京クヮルテットを聴いた時の考察は一歩進んで、マーティンさんもルーカスさんも、荒馬のごとき楽器を押さえ込みつつ個性を殺さないギリギリを奏でるという、超高度な1stVnぶりを発揮していた(いる)という推察が可能かもしれない。 前置きが長くなってしまったが、演奏は上述のとおり聴き馴染んだハーゲンQの、中低弦が豊かで筋肉質な、運動性に優れたものだった。ただ、きっと「パガニーニ・クァルテット」の美質を引き出した結果として、以前よりも開いた明るい音色も用いられるようになった。また、2000年前後にグラモフォンに録れたハイドン・セットに比べると、“押す”よりも“引く”表現の割合が増したと感じた。 例えば狩の第1楽章は、愉悦の後に長めの間をとって、愉悦が仮想(過去の記憶や夢)だったような切なさを湛えた。18番のバリエーションは、変わり行くキャラクター1つ1つを慈しみ、一期一会に通じる愛惜が滲んだ。「不協和音」は、熱を帯びたり急く場面が少なく、質量はしっかりとあるのに浮世離れしていて、手が届きそうで届かない憧憬を覚えた。アンコールの「春」は、約15年前の録音と最も表現が異なっただろうか。テンポの揺れは自在で、張った音色と透いた音色のグラデーションが効果的。固く結った紐をあえてホロホロと解いたような表現が随所で聴かれた。川崎公演ほどではないものの、どうも禅に通じる臭いがして、それが枯山水のイメージと繋がったのは、これも入京初日の聴き手の先入観ゆえだろうか。
by mamebito
| 2015-10-21 10:25
| コンサートレビュー
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Comments(2)
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by
morpheus-cello at 2015-10-25 19:39
京都に来られていたんですね♪
バロックザ~ルには行ってみたいのですが、なかなか機会がありません。 カルテットは、聴くのも演奏するのも一番好きなジャンルですので、これからもレポート楽しみにしております。
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Commented
by
mamebito at 2015-10-31 01:18
>morpheus-celloさん
コメント返信、遅くなり失礼いたしました! ご訪問ありがとうございます。そうなんです、所用で京都と大阪に。 カルテットは専ら聴くばかり、弾く方ではずいぶん遠ざかっています。 よいですよね。良い仲間とアンサンブルをできるのって、ソロやオーケストラともちょっと違う、幸福度の高い時間をすごせるよなあと思います。
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