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2014年8月2日(土)17:00~
江戸川区総合文化センター(小) 浅野亮介+アンサンブル・フリー・イースト ♪シューマン/ツヴィッカウ交響曲 ♪旭井翔一/忘却曲線からの旅立ち(委嘱初演) ♪シューマン/交響曲第2番 ♪オネゲル/交響詩「夏の牧歌」(アンコール) アグレッシブな選曲とプロジェクトで関東まで評判が聞こえてくる関西のアマチュア楽団、アンサンブル・フリー。そのメンバーを中心に関東で2013年に結成したのが、アンサンブル・フリー・イースト(以下、自由東)。指導と指揮は本家と同じく、あのササヤ書店にも籍を置く浅野氏。音楽のフレームワークがはっきりと伝わる、主張の明確な演奏を楽しんだ。 プログラムの中心はシューマン。まず、演奏機会が少ないツヴィッカウを聴けたことが嬉しかった。浅野さんはかなり前向きなテンポで、シューマン若書きの情熱の発露をストレートに表現するかのよう。そのアプローチは終楽章で活きる。妄想が膨らむだけ膨らんで、どうしようもなくなって、とりあえず落とし前をつけたようなフィナーレの切なさが際立った。Sym2も同様に、プロ楽団で耳にしたことのない驚異的なスピードで疾走する。そのため細かい傷は生じてしまうのだけれど、一方で音楽の構造が数小節単位でクッキリと見えてくるから面白い。これが先に述べた「音楽のフレームワーク」がはっきりしている所以。指揮者が構造を理解して、それがきちんと楽員に伝わって、少しでも多くの人がその共通認識の下に音を出す・・・当たり前のようだけれど、アマチュアに限らずプロの楽団でも必ずしも出来ているとは限らない気がする(プライドや先入観が邪魔して)。金太郎飴のように一音一音を揃えて、それを積み上げて・・・というプロセスよりも、全体観を持つこととフレームを切ることの大切さを改めて痛感する演奏だった。 シューマンの間に挟まれたのは、藝大出身26歳の旭井さんによる新曲。10分程度の中に、これもフィナーレに向けた構造が分りやすく、その中で現代音楽的なモジュールが比較的薄めに組み合わされて楽曲を構成していた。以前、鹿児島の30代作曲家、石田匡志さんの交響曲を演奏させていただいた時に強く感じたのだけれど、最近耳にするアラサー作曲家の作風には“高級ゲーム音楽”とでも称したくなる独特のオスティナートや音階やメロディラインが、通底していることが多い気がする。この日の旭井さん作品にも同様の風情があり、興味深く感じた。 オケは300名程の小ホールに中規模編成。浅野さんの快速テンポの中で、時折ハッとするほど鮮明だったり優美だったり温かかったり、生真面目に積み上げた予定調和的演奏では望めない、良い意味で振幅の大きい瞬間を生み出していた。悔やむべきは、Sym2の終楽章フィナーレに向かう前の弦楽合奏で、指揮者が気持ちよくなったか腕を下ろし体の揺れだけで振ってしまった数小節の後、続く管楽器群が小節を誤ってしばらく吹奏してしまった事故。聴かせどころだっただけに惜しい。いや、あれは客席で見ていてもさすがに嫌な予感がしたので、指揮者としては是非改善願いたいところ。その次回、なんと新作委嘱+プロコのシンフォニア・コンチェルタンテ+ペトルーシュカ!ということで、関西の本家に負けず劣らず東のフリーも相当尖がった活動を展開してくれそうな予感である。
by mamebito
| 2014-09-27 01:07
| コンサートレビュー
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