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![]() シャネル・ネクサス・ホール Vc.伊藤悠貴 Pf.丹千尋 ♪R.シュトラウス/チェロ・ソナタ ♪ワーグナー(伊藤編)/楽劇「トリスタンとイゾルデ」第1幕前奏曲 ♪マーラー(ゲリンガス編)/4つの歌 ♪R.シュトラウス/ロマンス(アンコール) 右の真っ黒な画像、うっすら「CHANEL」とあるのが見えるだろうか?同ブランドが、若手アーティストを中心に演奏会や展覧会を無償(抽選)で一般市民に提供する取り組みの1つ、ピグマリオン・デイズ。気になっていた伊藤悠貴さんの本公演に絞り初応募したところ、見事に当選したので拝聴してきた。 英国で活躍されてきた伊藤さん。イケメン宣材写真そのままに、より素朴なルックスと、落ち着いた声色によるトーク、いずれも気取らず客席が惹かれるようなお人柄がにじむ。演奏は没入スタイルに見え、リヒャルトの冒頭からアクセルをしっかり踏んだ音色と表現が展開された。舞台上で速やかに自分の世界を作りきる術をお持ちと見え、調子が出るまでグズグズなんてしないところにプロを感じた。コンパクトながらしっとりとした丸みのある音色が美しい。中間のトークで、リヒャルトのご子息にソナタの演奏を賞賛されたことがあるそうだから、伊藤さんの十八番の一つなのだろうか。作曲者若書きのストレートなパッションと古典的な均整美を自然に味わえ、この作品を聴いた経験の中では特に印象的な演奏だった。 2曲目は、あの有名な前奏曲をチェロとピアノで奏でるという伊藤さん編曲版。過不足を感じない編曲の妙、そして編曲者ならではのクライマックスとカンタービレへの没入が、強い求心力を放つ演奏だった。そして師匠編曲版の内省的な歌曲集で締めくくるところに、プログラム・センスもさることながら、質実な演奏への自信を垣間見る。第3曲「最後の7つの歌~私はこの世に捨てられて」の深遠さ、終曲「さすらう若人の歌~朝の野を歩けば」の快活な詩情・・・それらは弦楽器ではおそらくチェロだからこそ表現し得る世界観であり、歌う楽器としてのチェロの底力を味わうことが出来た。 会場は上背のある四角い箱に平土間、正面には銀座中央通りに面した高窓があり、演奏中はシャッターが下りて暗闇が保たれる。その高窓の下に、膝丈上ほどの舞台が設置されるセッティング。客層は私が普段通っている演奏会とはかなり異なり、関係者らしき方々の挨拶と談笑多数、シャネルを意識してか見るからに良い物を身にまとった方々も多数。大手コンサートホールの廉価席で見かけるリスナー風(≒自分)はかなり少数派に見えた。つまり雰囲気はアウェイなんだけれど、この日のように気になる演奏家が出演される時は、また抽選に応募してみるかもしれない。
by mamebito
| 2014-07-12 03:18
| コンサートレビュー
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