タグ
レビュー(534)
オーケストラ(364) LFJ(72) ピアノ(56) 室内楽(51) チェロ(47) アマチュア(47) 都響(42) 弦楽四重奏(41) CD(35) N響(30) 新日フィル(24) 交響曲(23) ヴァイオリン(16) 東響(16) 以前の記事
最新のコメント
最新のトラックバック
お気に入りブログ
外部リンク
記事ランキング
検索
最新の記事
ブログジャンル
|
![]() Vn.アリーナ・イブラギモヴァ ♪イザイ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ(全曲) 半年ちょっと前に何気なく訪れた王子で心奪われたイブラギモヴァ。ベートーヴェンではピチピチと節度のバランスが心地よかったのだけれど、イザイではよりアグレッシブな彼女の底力を聴くことができた。 第1番から叩きつけるような強烈なボウイングで音楽を進める。ベートーヴェンではほとんど聴かれなかった表現だ。考えてみれば、彼女の演奏は実演も録音もベートーヴェンしか聴いていなかった。きっと、自身の強烈な個性を軸に作品を引き寄せる解釈ではなく、作品にふさわしい硬軟や軽重を自在に描き分けるスタイルなのだろう。第2番で引用されるコラージュは間合いが自然で鮮やか。そして俄然彼女が弾くバッハを聴きたくなった。第3番で跳躍や重音がピタリとはまり気持ちよいのも真骨頂。深く歌いこむバラードは今まで聴いたいずれの演奏よりも胸に迫るものだった。 休憩を挟み第4番、第2楽章ピツィカートの空間への放ち方、響きと空白の活かし方が、主観でしかないけれど好みだ。第5番で用いられるスルポンなどの特殊奏法も、容赦なくノイジーでありながら刺々しく汚らしくならないところに彼女のセンスを感じた。終曲としてはあっさりとした第6番は、駆け抜けるように鮮やか。弓を弦から放して軽く笑みを浮かべたのを合図に、客席からは自然と沸いてくるような感じのよい喝采が広がった。アンコールは設けず、おまけ無し一本勝負の潔さ。 全体に、今までのイブラギモヴァの印象とは異なる鬼気迫る激しさが印象的だった。一方で、それらが行き過ぎず、どこが角が取れていて暴力的にならないところが快かった。素材の野趣を生かしつつ美しく面取りされた野菜の煮付けのような・・・。たった一人で、最初から一気にテンションを高めて最後まで完走した印象。演技やダンスをしたわけではないのだけれど、音だけでなく彼女の存在感も合わせた総合芸術の一人舞台を鑑賞したようで、ホクホクと豊かな気持ちになってトッパンを後にした。再来日を切望。
by mamebito
| 2014-06-08 15:03
| コンサートレビュー
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||