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2013年12月20日(金)19:00~ サントリーホール
エリアフ・インバル+東京都交響楽団 Vn.庄司紗矢香 Ms.イルディコ・コムロシ Bar.マルクス・アイヒェ ♪バルトーク/ヴァイオリン協奏曲第2番 ♪庄司紗矢香編/ハンガリー民謡(アンコール) ♪バルトーク/歌劇「青髭公の城」(演奏会形式) 庄司さんが圧巻。別に威圧的な意味ではなく、音楽がさらに洗練を極め、芯の強さも兼ね備えて圧倒的だったのだ・・・ヤルヴィの時に続いてまた抽象的な言葉に終始しそうだけれど、ご容赦を(苦笑)。 以前LFJでも拝見したつぼみのようなドレスに身を包んだ彼女の存在感は、5月のブラームスにも増して確たる雰囲気をまとっていた。Vn協奏曲にしてはかなりオーケストラの規模が大きい作品。金管打楽器も豊富だ。そんな楽団を容赦なく鳴らすインバルに対して、昔のように無理に力むことなく、間隙を縫って彼女のヴァイオリンが突き抜けて聴こえてくる。物質的な音量云々の世界を超えて、解明しようが無い音楽のマジックを身に付けられたのだろうか。表現も、過度に民族色を強調することなく、エキセントリックに過ぎず、かといって都会的に過ぎず、絶妙なバランスで作品の核心に迫っていくようだ。激しさも厳しさも素速さも、いったん彼女の体に入ったバルトークを常に確かめながら、内から搾り出すようで味わい深い。オーケストラはやや都会的な響きで、寄り添ったり仕掛けたり、協奏曲というよりも団内のヴァイオリニストが語りを務める交響詩のような一体感で音楽を創った。頻繁に演奏されるとは言えない同曲の、貴重な名演奏を体験した。 さらにアンコールが秀逸。Twitterで、ブダペストに赴き民族舞踊クラブにハマッた、と呟かれていた旅土産の1つだろう。「バルトーク自身が村で録音してきた民謡の一つ(歌/ヴァイオリン/アコーディオン)を、私がVnソロ用にアレンジしたもの」(庄司さんTLより引用)というハンガリー民謡は、客席を一段と彼の国の深みへと誘った。土着臭をまとったクラシカル・ヴァイオリンが、絶妙な即興感を醸しだしていた。最上級にカジュアルなアンコール。袖に戻る彼女の表情には、いたずらっぽい微笑みが浮かんでいた。 後半は一段とバルトーク濃厚な青髭公。あまり聴き馴染んでいないので、詳細はブロガー諸氏の的確なレポートに委ねるとして、個人的には壮麗な都響サウンドの贅を心から堪能した。フライヤーの能書き「最もエキサイティング」は言い得て妙。インバル+都響の青髭からは、おどろおどろしさや血生臭さは、さほど漂って来なかった。他方で、機能的に一切隙が無く、響きがパリッとしてブリリアントだ。以前も書いた気がするが、前任のデプリーストが都響の未来像について「フィラ管のようなサウンドを目指したい」と述べていたことが、いよいよ日の目を見つつあるのではなないだろうか。機能美を極めても無味乾燥というわけではなく、木管ソロの皆さんを中心に場面表現に不足はないし、金管打楽器にバンダとオルガンも加わる大音響の中でも、弦は地鳴りのように肉感豊かだ。これほど充実したサウンドを楽しめて、さらに何を望もうか。
by mamebito
| 2014-01-02 00:04
| コンサートレビュー
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Comments(2)
遅ればせながら、明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
それにしても素晴らしい演奏会でしたね!圧倒的技術もさることながら、庄司さんの音楽の深まりには本当に恐れ入ります。「青ひげ」も都響のアンサンブルの精妙さそして美しさが際立ってました。 同行した方に「あのドレス、LFJでも着てましたね」って言ったら「お前、どんだけ見に行ってんだよ」と笑われました・・・貴賓席(?)に森英恵さんが座ってましたから、きっとハナエ・モリデザインなのでしょうな。引っかかって躓きそうになるからって、スカートを引き上げながら袖に引っ込む男前な庄司さんに惚れ直しました(笑)。
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Commented
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mamebito at 2014-01-05 23:21
>minaminaさま
ありがとうございます。こちらこそ、本年もよろしくお願いいたします! 庄司さんの音楽、ここ数年加速度的に深みを増している気がしてきて、正直(ギャグではありません、笑)また一段と遠い存在になってしまいそうな、嬉しいような寂しいような感覚を抱いています。こちらも、彼女の飽くなき好奇心や音楽の探究を、少しでも多く感受できるように、耳を肥やしていきたいところです。 12/20、森英恵さんがいらしたんですね!そしてドレスデザインの読み、きっとminaminaさまの仰るとおりではと。庄司さんのたくし上げ、直角に曲がったちょっとおてんばな肘の感じが、個人的にかなりツボです(笑)
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