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![]() サー・ロジャー・ノリントン+NHK交響楽団 Pf.ロバート・レヴィン ♪グルック(ワーグナー編)/歌劇「アウリスのイフィゲニア」序曲 ♪ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第2番、6つのバガテル~プレスト(アンコール)、交響曲第6番「田園」 今やN響団員さんの多くが来演を心待ちにしていると聞くノリントン。00年代半ばに客演し始めた頃は、ピュアトーンのインストールが不自然でキツく感じたもの。しかし今年の客演に至っては、シュトゥットガルトやザルツブルクやチューリヒに劣らずノリントンの意図を実現し、自然な協同関係を築いていたと思った。 開演前、一番期待していたのはアウリス。ノリントン一流の抑揚と精彩で原曲の輝きが顕になると思っていたら、意外にもワーグナー編を尊重したふくよかな響きで、テンポも穏やか。とはいえ、フレージングが流線型で息が長いこと、威圧的ではない弦のふんわりとした音色感は、時代研究の耳を持った人のセンスに違いない。作品のピュアな魅力を堪能する演奏だった。 コンチェルトはレヴィンが圧巻。蓋を外したグランドピアノを取り囲むように各楽器が配置され、指揮者は舞台中央でソリストの横に寄り添う、というノリントン・シフト。音楽が舞台中央上空に寄り集まっていき、親密な雰囲気だ。集まった響きが、ホール天井シャンデリアから四方八方に降り注ぎ、客席を浸していくような独特のベートーヴェン。レヴィンが弾くのは、フォルテピアノではなくモダンのグランドながら、ヒストリカル・ピアノのようにコロコロと粒が美しく、響きがまるで飽和しない。ペダルを抑制しているだけでなく、彼のタッチの為せる業なのだろう。音楽に宿る生気は爽やかで、これほど清々しいPfコン2番は初めて聴いたかもしれない。さらにアンコールのバガテルは、崩壊寸前のテンポでさすがによたったものの、驚異的な切れ味によって彩られた。繰返すけれど、圧巻。そしてマエストロと一緒になって負けず劣らない、レヴィンのドヤ顔カーテンコールにも湧いた(笑) さて、何度かカミングアウトしてきたとおり、田園は第九の次に苦手なベートーヴェンの交響曲。しかしながら、この日演奏が最も充実したのは田園で、この曲を好んで聴かない者も楽しめる出色の演奏だった。まずもって、シュトゥットガルトとのLive録音よりも楽団の響きが美しいこと!柔和で豊かでありながら、十分にエッジが効いた楽団のキャラクターに「日本のピュアトーンもついにココまで浸透し深化したのか!」と感嘆至極。ノリントンが施す抑揚は即興的で、あざとさを通り越し透徹した表現に至っていた。第2楽章、持って回った押し付けがましさのない、スムーズな流れから馥郁と立ち上る幽玄なソノリティは、この日の白眉。スケルツォや嵐の強烈なアタックも見事だけれど、そういう刺激物には慣れてしまったのもあって、第2楽章や終楽章の美しさに心から感じ入る田園だった。 最近、特に今年に入ってからのN響さんの演奏クオリティの高さには、目を見張る進化を感じる。一途な都響贔屓としては、ついにNもTMSOに追いついてきたか、なんてうそぶいてみたくなるところだ。ちょっとN響さんにも食指の比重を配分しようかな・・・と揺らいでしまったのはココだけの話(笑)。
by mamebito
| 2013-11-19 23:46
| コンサートレビュー
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