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2013年4月17日(水)19:30~ ハクジュホール
Vc.ウェン=シン・ヤン ♪J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲第4番 ♪クレンゲル/シャコンヌの形式によるカプリース ♪ブリテン/無伴奏チェロ組曲第1番 ♪ピアッティ(ウェン=シン編)/ パチーニの歌劇「ニオベ」の主題によるカプリッチョ(アンコール) 最近増えてきたものの数少ない来日を、極力聴くようにしてきた敬愛するチェリストの一人、ウェン=シンさん。この日は、今までで最も氏の本領を聴けた気がした。しかも最前列ほぼ中央で、目を皿のように見開いて焼付け、音色をダイレクトに浴びまくる、幸福なoneアワーだった。 バッハは、真面目で敬虔ですらあった録音(+映像)よりも自由度が高く、即興性を備えた演奏。リピートは全て採用し、前後で装飾を変えたり分散和音を大胆に下降音階へ違えたり。また、プレリュードの分散和音はホールの残響を考慮して空白を多めにコントロール。それが絶妙に響き渡るなど、無伴奏チェロが奏でるEs-Durの叙情を心行くまで堪能できた。この調性、なかなかこう素直に美しくは鳴ってくれまい。 一昨年のエルガーと無伴奏然り、近年のウェン=シンは百発百中で切れまくっていた2000年前後の技術が大人しくなった印象だったのだが、それは私の耳の誤認だったかもしれない。当初の曲順を舞台上で自らアナウンスし変更したクレンゲルが、切れ味抜群の完璧な演奏で・・・。全く難しく聴こえないのだ。そして素直なロマンティシズムとでも言おうか、クレンゲルならではの温かみも滲んで聴こえる。きっと作曲者は、単にヴィルトゥオジティの刺激を楽しませるのではなく、その先に人肌の温もりのようなものもこの作品に込めたのだろう、と思った。 メインに据えたブリテン、愛聴していたウィスペルウェイやケラスが軟派に聴こえるほど、余分な表現と余情を排した真摯な演奏に心打たれた。この後ケラス盤を聴いたら、艶っぽさを演出したようなグリッサンドや柔らかい発音が鼻についてきて・・・苦笑。沈思するような無窮動からフィナーレに至るうねるような音楽の流れなど、技術や音色の断片の輝きだけでなく、音楽全体の語りに説得力が溢れた。 喝采に応えてのアンコールは、明瞭な英語でピアッティをアナウンス。ウェン=シンに瞠目し愛聴した録音から、ついにこれをLiveで聴くことができた。しかもアンコールの勢いもあってか、楽器が歌うこと歌うこと!とんでもないポジションを完璧な技で音にしていく様は目にも鮮やかな芸術品。 フィニッシュの後は、知人と思われる方のブラヴォ方面を弓で指して笑顔のウェン=シン。チェロの鳴り得る音色の贅を尽くした、滅多に聴けないだろう超絶リサイタルだった。Viva!19:30開演! #ところで、今まで気付かなかったのだけれど、ウェン=シンさんのチェロのペグが3本しかなかったんですが・・・もちろん弦は4本。どういう楽器だったのだろう。
by mamebito
| 2013-05-05 00:01
| コンサートレビュー
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