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2011年2月14日(月)19:00~ 東京オペラシティコンサートホール
![]() +東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 Vn.ネマニャ・ラドゥロヴィッチ ♪ボロディン/交響詩「中央アジアの草原にて」 ♪プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲第2番 ♪J.S.バッハ/無伴奏Vnパルティータ第2番~サラバンド(アンコール) ♪チャイコフスキー/交響曲第4番 連休前に季節性インフルを発症、この日まで療養を命ぜられていた。薬を飲み終え体調もスッキリ、夜は思い立って約1年振りのシティフィル定期へ。もちろんマスク必携(苦笑)。これが充実したソワレとなった。 中央アジアは丁寧な佳演。この曲を聴いたのは何年振りだろう。遠景から近景へ至る楽器の重ね方(特にTbの美しい扱い)、秀逸なメロディ。改めて「よく出来た曲だ」と思わせてくれる、堅実な演奏だった。 ラドゥロヴィッチのVnはいかにも東欧的と言おうか(旧ユーゴ出身)。ややドライでマットな音色に、削り出した石のようにクッキリとしたボウイング。そのため、この作品のファンタジーやミステリーはあまり醸成されない一方、スリリングで熱い演奏が展開された。パヴェル・ハース四重奏団(チェコ)によるプロコフィエフの録音に覚えたのと近い感触だ。 アグレッシヴなVnをフル編成で受け止める楽団は、合奏に相当神経を使ったことだろう。舞台からは張りつめた集中力がみなぎっていた。破たんがないだけでなく、シティフィルのやや乾いた明るめの音色(特に弦)がソロとマッチ。楽団を振りむきアンサンブルするソリストとの絡みも有機的で申し分ない。ヴェロの堅実なタクト、それに呼応する楽団も速弾きから場面転換に至るまで鮮やかにまとめた。 第3楽章、ラドゥロヴィッチは相当攻めるのだが、テンポの枠を大きく逸脱することはない。風貌に騙されるなかれ、彼はまっとうな合奏感覚も持ち合わせているようだ。アンコールではロシアン・プロに挟まれて清楚なバッハ。ピュア・トーンから伸びやかなヴィブラートまで、少々ワンパターンだが美しくコントロールして客席を魅了した。 チャイ4もよくツボが押さえられた申し分のない演奏。冒頭の主題提起からして快適テンポでサクサクと進むが、第1楽章中間部などうねるようなロマンを奏でるし、第2楽章の叙情も、第4楽章の熱情も過不足なく表出する。また上述のちょっと乾いたオケの音色や、スタープレイヤーがいないなか寄り添うような合奏の佇まいが、これも良い意味で東欧の中堅名門楽団のような温かい肌触りを醸し出していた。当てにくいHrも丁寧に決めるし、TpやTb・Tuが突出しすぎないのもいい。ホールサイズにぴったりフィットするような小ぶりのピラミッド・バランスでまとめられた、後味の小気味良いチャイ4を堪能した。 ヴェロ氏はしばらく聴かなかったが、良い意味で手堅い職人的な演奏をする人になったな、と思う。マエストロには個人的な想い出がある。十数年前、大学受験浪人の2月に試験を全て受け終え、滑り止めしか合格せずに最後の志望校発表を控えた前日の夜、居ても立ってもいられず芸劇へ向かい今はなき新星日響でオルガン付を聴いた時のタクトがヴェロ氏だった(確か都民芸術フェスの公演)。演奏は何ということも無くお軽い印象しかないが、久々のライヴで、重圧から逃れるように音楽に集中したからか、その時の苦しくも甘い感触と翌日春を迎えた開放感が、演奏会の記憶と根強くリンクしているのだった。 さて、この日コンマスの戸澤さんは2曲目から2F中央1列目でご鑑賞、松野さんが客演された。昨年のサイトウキネンは氏の目の前の席、弦セレ終演後の感無量の表情に私も胸を打たれたことを思い出す。この日も練達のリードに加え、Vnパートからじんわり温かみがにじむように感じられたのは氏のお人柄の影響だろうか。
by mamebito
| 2011-02-16 00:06
| コンサートレビュー
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Comments(7)
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インフルエンザ密かに猛威をふるっていますね
お大事に!
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以前お話しました、ポール・ルイスのシュベを聴いてきました。D840, 946, 850。高音がとってもきれいでした! 磨かれた音球が降り注ぐ3D体験(笑) ただfからpまでの幅が狭く、もっとp以上f未満が多かったら味わいや色合いが増したのかもしれません。小さいホールだったこともあり、少しf疲れしました。 それでも終演後ふぅと息をつくほど、ありありとしたシュベの世界を体験することができました。来月の公演も楽しみです。
>Hidekiyoさま、お見舞いありがとうございます。おかげさまで全快して、土日は楽器の練習などに勤しむ日常が帰ってきました。明日は大フィルの東京定期に出かける予定です。
Hidekiyoさんのblogも金曜の夜に1週間分ゆっくり拝見しました。インフルの最中に終わってしまったVcコングレス、一つベヒ(笑)の逸話、振ると面食らう…音楽にまつわる興味深い話って本当に多岐に渡るんだなあと、Hidekiyoさんのアンテナの高さと豊かな筆致をたっぷり楽しませていただきました!
>TMさま、NY音楽便りをありがとうございます。ポール・ルイスはそちらでもシュベのチクルスを組んでいるんですよね?
TMさんのこの表現、とてもリアルで伝わりました「磨かれた音球が降り注ぐ3D体験」。私はちょっと前の録音しか聴いていないので、きっと一段と洗練されて、かつ音楽の構築が達者で立体的になったんだろうなあと想像しました。 私は残念ながら4月の東京公演は聴きにいけない予定なのですが、まだ続く日本でのチクルスのどこかでルイス詣でを果たしたいと思います。 NYでの次回公演もぜひご感想聞かせてくださいね! ![]()
ルイスのシュベはメトロポリタン美術館のシリーズですが、今シーズンはこれと来月分しか予定されていません。来月のプロは7/1@王子ホールと同じですが、12/8分はもしかしたらこちらでも来シーズンにやってくれるのかもしれません。
王子ホールのHPにルイスの言葉が載っていますね。「彼の音楽は静寂を求めているようなところが少なからずありますが」 ルイスの静寂の中では澄んだ音が響いてるんだろうなぁなんて思ってしまいます。矛盾ぽいですが(笑) ![]()
度々すみません、もう1点。
Pacifica Qurtetのタコ・チクルスを聴いてきました。音量もスタイルも大人しいというか、自分たちの演奏をガツンと見せてくるタイプではなく、後ろから音楽を支えるような演奏ですが、それが特に最後の曲(11、13-15番)に合っていてとてもよかったです。音色をひけらかそうとせずに、じっくりと浸らせてくれます。 6/9-19に日本を回るようなので、お薦めさせていただきます。
TMさん、パシフィカQのご感想ありがとうございます!
そうなんですよね、サントリーではベト全曲マラソンコンサートをやるし、ここ数年日本での人気も急上昇ですね。生では未聴ですが、ここのVa・Vcの大男達の音はとても魅力的です。 今のところ、週末の夜にClのストルツマンとパシフィカQがショートタイムコンサートを安価に催すので、それはチケットをおさえてあります。曲目未定なのも逆にワクワクしています。NYからは周回遅れな感じですが、東京も最近はけっこう工夫のあるいい企画が増えてきたように思います。
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