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2010年9月25日(土)14:00~ 紀尾井ホール
ゲルハルト・ボッセ+紀尾井シンフォニエッタ東京 ♪ベートーヴェン/交響曲第1番、同第3番「英雄」 ボッセ氏の音楽はいつも張りがあって生き生き。1990年代の日本で室内楽編成のモダンオケ(新日フィル)とピリオドライクなハイドン・チクルスを敢行したり(カザルスホール)、藝大チェンバー・オケでサラブレッド達と若さ溢れる演奏を披露したり、古きに固執しないマエストロの活動とバイタリティには敬服を禁じ得ない。2年ぶりに拝見する姿はさすがに足が不自由そうだったが、御年88歳でタクトはまだまだ確か。 そんなボッセ氏によるベートーヴェンは、恣意的なロマンを排し端正で引き締まった演奏。若々しいのだけれど若さの只中にあるのではなく、老境から若かりし頃を慈しむかのような温もりや懐かしさがにじむ。 特に第1番は感動的だった。バロック・ティンパニをバッチリ効かせた溌剌アプローチには聴きなれてきたつもりだが、全体を覆うのは若き作曲家の野心や革新というよりも達観した清澄なる情熱とでも言えようか。不思議とop.126以降の作品(後期弦楽四重奏etc)を聴いた時の感触に似ていた。エロイカも申し分ない好演。第2楽章や第4楽章に想いが乗った。全体に快活ながらいたずらにスピードで押したりはせず、例えば第4楽章コーダなど刻み1音も疎かにしまいというような入魂の構築で説得力に満ちていた。 久々に聴いたKST、今回はスタープレイヤーこそ少ないけれど、堅実な演奏でボッセ氏のタクトに応えた。管楽器はテンポ感やニュアンスがよく言えば自由、悪く言えば不揃いな時(両作品とも特に第2楽章で)があったが、弦セクションの上質な音色とザッハリッヒな合奏には感嘆。客演コンマス、アントン・バラホフスキー氏(バイエルン放送響第1コンマス)の存在は大きかった。普段ならば音色は良いけれど合奏が緩めのKSTを、見るからにカッチリしたボウイングとドイツ的リズム感で自然に統率。音量豊かなのに個人としては決して突出することなく楽団に溶け込み、弦全体を風格ある佇まいに纏め上げていた。 2010~2011年シーズンのKSTベートーヴェン交響曲チクルス、途中ペーター・レーゼルのピアノ協奏曲全集を挟んで、今後コープマン、下野竜也さん、リープライヒ、ヘンヒェン、と個性豊かなマエストロが並ぶ。このチクルス、かなりいいものが聴けそうな予感。
by mamebito
| 2010-09-28 01:37
| コンサートレビュー
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