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オットマール・スウィトナー氏、87歳で死去(2010年1月8日、ベルリン)
好きな指揮者でした。私が音楽をよく聴くようになった頃にはマエストロは表舞台からは退いていましたので、録音や映像でしかお目にかかれない、媒体レベルでは古の巨匠達と同列でした。しかも難病で第一線に戻れないことも周知の事実。にもかかわらず訃報の喪失感が大きいのは、氏の音楽が表層とは一線を画する深部に響くものだったからでしょうか。 スウィトナーの愛聴盤はたくさんありすぎます。以前から親しんでいるセッション録音の中から捨て難い5つに絞って追悼の投稿にかえます。(SKB=シュターツカペレ・ベルリン、SKD=シュターツカペレ・ドレスデン) ♪ブラームス/交響曲第3番 with SKB (録音:1985年8月/キリスト教会、ベルリン) ブラ3はこの録音で出会い聴き込みました。恰幅のよいテンポ、しかしそこに一部の巨匠連に見られる教条的な押し付けがましさは皆無。自然な流れに溢れる叙情。そして深々と懐かしい音色はこの後SKBから徐々に失われていった美質だと思う。どうしても帰ってきたくなる演奏。 ♪ベートーヴェン/交響曲第2番 with SKB (録音:1982年6月/キリスト教会、ベルリン) SKBはSKDよりずっと腰が重い。けれどこの演奏、決して緩むことなく推進力抜群。意気軒昂でベト2の曲想にベストマッチ。時に爆演をかますスウィトナーの知情が見事なバランスで結実した瞬間だと思う。 ♪ウェーバー/歌劇「オベロン」序曲 with SKB (録音:1974年5月/キリスト教会、ベルリン) ウェーバー序曲集の中の1曲。録音イマイチで、演奏もルイジ+ドレスデンのように華麗で機能抜群とはいかないけれど、こんなにも温かく柔らかな幸福に満ちた音楽は稀だと思う。「馥郁」という言葉の意味を具体的に教えてくれた録音。 ♪ビゼー/交響曲 with SKD (録音:1972年4月/ルカ教会、ドレスデン) “小手先抜きで図体で押し進める”ような後年には影を潜める、軽妙洒脱なマエストロの一面が活きている。フランス的でも室内楽的でもないけれど、嬉々として且つ格調高く、ビゼーが聴いたら照れてしまいそうなほど。ドレスデンの音色も美味。 ♪R.シュトラウス/メタモルフォーゼン with SKD (録音:1966年?) 指揮者によっては30分かけて悲劇的に仕上げるところを、スウィトナーは颯爽と24分半で駆け抜ける。劇場空爆からわずか約11年後の演奏は穏やかですらある。何十年もかけて街を復興しようとしていたドレスデン市民にとって、惨禍は過去の出来事ではない。当事者ゆえの激さない表現から染み出す哀感が、劇的な演奏よりも切実さを伝えているように思います。そうした演奏を引き出せたのも、破壊された劇場の同士スウィトナーだからなのでは。 今後リリース&放映されるだろう追悼盤やLive記録で、これからもマエストロの音楽にはお世話になるでしょう。改めて、感謝。
by mamebito
| 2010-01-17 23:54
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