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1年の振り返りが5月連休までずれ込んだのは初めてのこと。さすがに遅筆が過ぎるので、これを最遅記録に留めたい。 2021年は22公演、前年の8公演から約3倍には増えたが、ビフォア・コロナに比べると4割減といったところだった。特に前半は聴きに行く機会も気力も少なかったが、夏に良い公演が続いたおかげで気力を取り戻し、後半は本来?の演奏会通いに近いペースを取り戻した1年だった。ということで、特に印象深かった公演数も5公演に戻して。 ♪2021年 特に印象深かった5つの演奏会 813|2021.8.7 バッハ・コレギウム・ジャパン第143回定期演奏会 816|2021.8.24 ピンチャー+アンサンブル・アンテルコンタンポラン 818|2021.9.16 NHK交響楽団第1937回定期演奏会|Cond.鈴木秀美 819|2021.10.25 内田光子ピアノ・リサイタル2021(第2夜) 823|2021.11.17 イザベル・ファウスト×J.S.バッハ全曲演奏会|第1夜 2022年は、定期会員公演を中心に、デュトワ来演やラトル+LSOラストシーズンの来日といったオーケストラ鑑賞が増えそう。一方で、感染した場合のダメージは従来より軽いのかもしれないが、感染数・率ともに下がりきらない中で、一席空きの市松模様配置が解除され客席がぎっしり埋まることには居心地悪さを否めない。どうしても聴きたい公演以外は、聴きやすい環境・座席を確保できるか否かでふるいにかける方向がしばらく続くように思う(というか執筆時点で続いている)。 #
by mamebito
| 2022-05-04 00:01
| コンサートレビュー
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ジョナサン・ノット+東京交響楽団 Vn.グレブ・ニキティン、水谷晃 Va.西村眞紀 Vc.伊藤文嗣 Ob.荒木奏美 Fg.福士マリ子 ♪モーツァルト/ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 K.364 ♪ハイドン/協奏交響曲 Hob.I105 ノットさんが東響ポスト就任を決めたとされる公演は、2015年9月6日のモーツァルト・マチネだった。楽員に優れたソリストがいて、ヨーロッパ・オーソドックスな語法で古典名曲を奏でられる楽団の能力は、長期タッグを組む決断を後押ししたに違いない。この日も、ノット&東響の蜜月を改めて確認できた。 件の2015年に水谷さんと青木さんがソロを弾いたK.364を、この日はニキティンさんと西村さんが奏でた。初めて独奏を拝聴した西村さんは、音量こそ大きくないものの、柔らかく朗らかな雰囲気の音色でヴァイオリン・ソロを引き立て、指揮者・オーケストラ・ソロを調和させる扇の要を担っているようで、興味深く拝聴した。 ハイドンは、4人のソロがそれぞれの個性を主張するよりも、4人の共通目標点を置きながら個々にソロを奏でているような高度な協調性を感じた。その中で、音量と音域がある意味“不利”なファゴットが、他のソロと同等にたくましくホールに響いたことは特筆ものだ。また、伊藤さんと荒木さんは余裕の度合いが大きいと言うのだろうか、突出することはないまでもポテンシャルが桁違いに高いように聴こえた。このお二人、ノットさんが欧州名門の手兵に引き抜いてしまうのではないかと勝手に心配している(笑)。杞憂で終わるとよいような、彼らが世界で飛躍する姿を見たいような、この日も複雑な期待感を一方的に抱きながら耳を傾けた。
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by mamebito
| 2022-05-03 00:13
| コンサートレビュー
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フォーレ四重奏団 Vn.エリカ・ゲルトゼッツァー Va.サーシャ・フレンブリング Vc.コンスタンティン・ハイドリッヒ Pf.ディルク・モメルツ ♪フォーレ(ツェルナー編)/『3つの歌』~第1番『ゆりかご』第2番『われらの愛』、『2つの歌』~第2番『月の光』、ピアノ四重奏曲第2番 ♪ブラームス/ピアノ四重奏曲第3番 ーーー以下、アンコールーーー ♪シューマン/ピアノ四重奏曲~第3楽章 ♪フォーレ(ツェルナー編)/『5つのヴェネツィアの歌』~第1番『マンドリン』、『夢のあとに』 フォーレ四重奏団は贔屓の室内楽団体の1つなので来日のたびに聴いているつもりでいたら、2009年、2011年以来、約10年ぶりの鑑賞だったようで時の速さに愕然とした。そして10年も経ると、演奏団体のキャラクターが少なからず変化している場合があるもので、この日のフォーレQはそのパターンだった。 まず、ゲルトゼッツァーさんのヴァイオリンがいっそうアグレッシブになった。他の3人に寄り添うよりも、ダイナミックではみ出さんばかりのソロ弾きが増えた気がした。以前は古色で繊細に感じたハイドリッヒさんのチェロも、主張が強く大きく鳴るようになったように感じた。ピアノのモメルツさんは、この日たまたまかもしれないが、自身で敷いたテンポについていけない場面やミスタッチが散見された。変わらないのは、大きな楽器で音も大きいヴィオラのフレンブリングさんの存在感。アンサンブルの中心位置に座る彼が、他の三人の個性を繋ぎとめてバランスをとっているように聴こえた。 全体的に、彼らの十八番である『展覧会の絵』や『音の絵』といったダイナミックな編曲作品にアジャストしているように感じられた。それは、この日のフォーレやブラームスの演奏スタイルとして好みと異なる方向性ではあるのだけれど、かといって繊細な表現が完全に疎かになったわけでもないため、結果としてピアノ四重奏という編成の想像を超えた起伏に富む表現に圧倒されることになった。 フォーレの第2番では、作曲家お得意の3本の弦がユニゾンでメロディを奏でる場面など、オーケストラの弦楽セクションを聴くかのような迫力に驚いた。最愛の室内楽作品の1つであるブラームスの第3番では、第2楽章を中心にモメルツさんの瑕が大きく少々心配になる。第3楽章のVc→Vnと歌われる旋律は、彼らの録音や以前の鑑賞時よりも陰が減りカンタービレが前に出て豊潤。聴いていて、カラヤン&ベルリン・フィルによるブラームスの緩徐楽章のようだと思った。アンコールに、これも最愛作品の1つであるシューマンの第3楽章を聴かせてくれたのは嬉しかったが、ここでもハイドリッヒさんのチェロは愛聴している録音よりも豊かに鳴り、あまり陰を感じないカンタービレを奏でた。 総じて、抱いている作品へのイメージ…陰影や寒さや暗さ、とは異なる方向性の演奏だった。だからといって気に入らなかったわけではなく、むしろ作品の別側面を見出すことができ感銘を受けた。ベテランの域に入った彼らが、現在も欧州でピアノ四重奏のフロントラインを走り続けている理由は、編曲作品や現代作品を開拓し、演奏スタイルをアップグレードし続けているからに違いない。コンサバティブな演目では、良き伝統に根差し好みに合致するか否かで感想を抱いてしまいがちだが、聴く側の感性も少しはみ出したりアップグレードしていかなければ、と気付きを与えてくれた一夜だった。
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by mamebito
| 2022-05-02 22:58
| コンサートレビュー
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井上道義+新日本フィルハーモニー交響楽団 ♪武満徹(尾高忠明・井上道義編)/弦楽のためのレクイエム ♪モーツァルト/交響曲第39番 ♪ドビュッシー/牧神の午後への前奏曲 ♪ストラヴィンスキー/バレエ音楽『ペトルーシュカ』(1946年版) 払い戻しや中止を避けたい主催側の痛みはお察しするものの、強行した結果として、チケットの安値転売やSNSの批判投稿などによって妙な雰囲気になってしまった演奏会。応援の気持ちで駆け付けたファンが、演奏の良し悪しを問わずいつも以上に熱く粘っこい拍手を送るような状態が、中長期的に見て本当によいことだったのかどうか。 演奏に不満はなかった。どの作品も、その魅力や懐の深さを味わうことができた。尾高・井上編の『弦楽のためのレクイエム』は、強弱がわかりやすくなり親しみやすさは増した一方で、ミステリアスな雰囲気は減じているように感じた。モーツァルトは、奇を衒うことのない淡々とした運びの中で、状態のよいパートのサウンドが心地よく耳に届いた。『牧神』はFl・Vn・Vcのソリストに拍手。『ペトルーシュカ』は、デュトワのような透徹してシリアスな演奏とは異なる漫画的なアプローチ。強調や恣意的なパウゼが鼻につき興を殺がれる箇所はあったものの、デフォルメ過多の演奏として門前払いするのは早計だ。このようなアプローチでも、普段聴こえないサウンドと構成の面白さを楽しめるところに、作品の懐の深さを垣間見ることができた。 井上節にビビッドに反応し、破綻なくまとまりの良い演奏に仕上げた楽団も優れていたと思う。全体的に清々しいサウンドで、デュトワ来演を見越してかダブル首席をアサインしていたチェロパートは、少々軽めのコントラバスを補って余りある充実したパフォーマンスで特に素晴らしかった。
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by mamebito
| 2022-05-01 00:10
| コンサートレビュー
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三ツ橋敬子+東京文化会館チェンバーオーケストラ Pf.冨永愛子 ♪ベートーヴェン/劇音楽『プロメテウスの創造物』序曲 ♪シューマン/ピアノ協奏曲 ♪ベートーヴェン/交響曲第2番 ♪ハイドン/交響曲第45番『告別』~第4楽章(アンコール) 誤解を恐れずに言うと、コスパが高いコンサートだった。若い優秀なソリスト集団を、親密な大きさで聴きやすい東京文化小ホールで楽しむ贅沢。 出演者のほとんどが東京音楽コンクールの受賞者で、ソロや室内楽でたびたび拝聴してきた若い演奏家のお名前も。たった2人でシューマン第2楽章をはじめ豊かなソリを聴かせた伊東裕さん&笹沼樹さんのチェロ・パート、コハーン・イシュトヴァーンさん&アレッサンドロ・ベヴェラリさんによる贅沢なクラリネット・パートは、特に素晴らしく印象的だった。 冒頭の『プロメテ』、序奏の旋律からよく歌いフレキシビリティが高い。それは劇音楽だからかと思っていたら、後半の交響曲でも旋律が前に出て歌が途切れず、オペレッタ風の流れと分かりやすさがあった。おそらく三ツ橋さんのキャラクターだったのだろう。全曲を通じてイタリア的な明るさすら感じられ、少なくともこの日のベートーヴェン2曲にはうまくフィットしていたように思った。アンコールの『告別』、件の退場は愉快な小芝居付で、最後までマエストロの個性で彩られたプログラムだった。 初めて拝聴した三ツ橋さんは、良い現場感をまとい腕が立つ。所々でミョンフンのような腕の振りを見た気もした。かなり動いているようでいて安定感が強いと思ったら、肩幅ほどに開いた両脚が演奏中ほとんど動かず膝も曲がらない。舞台に根を張って生えているような揺るぎない基本姿勢が、安定感がありご自身の音楽をしっかりと主張するタクトに繋がっているのではないかと興味深く拝見した。
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by mamebito
| 2022-04-30 00:29
| コンサートレビュー
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