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9月にベルリン・フィルを聴いた際、安永氏の存在感にすっかり感動して、氏の統率を聴いてみたいと思っていたところに折り好く。
2008年12月13日(土)14:00~ 紀尾井ホール 紀尾井シンフォニエッタ東京 Vn.安永徹 Pf.市野あゆみ ♪モーツァルト/ピアノ協奏曲第22番 ♪ハルトマン/ヴァイオリンと弦楽のための葬送協奏曲 ♪モーツァルト/交響曲第38番「プラハ」 ♪ウォーロック/キャプリオル組曲~第5曲(アンコール) BPOのイメージで、安永氏がリードする音楽は腰が据わったオールドスタイルを想像していたのですが、そんな単純なものではありませんでした。例えば弦は時々スイングしたりヴィブラートを抑えたり、ベートーヴェンに通じる剛健なtuttiの後に透き通るようなppが訪れたり。バロックティンパニはかなり景気よく効かせます。多彩で柔軟な演奏スタイルにまず驚きました。 これはピアノの市野氏にも共通していて、予想外に自由なルバートが見られ表情が多彩。自作のカデンツァも劇的。音抜けやミスタッチは多かったものの、明確な表現意欲が前面に出ていることが印象的でした。 ハルトマンは紀尾井の優秀な弦合奏が光る好演。湿った印象だった7月の指揮者なしよりも西欧的な響きに感じられたのは、先入観のせいだけではないと思います。安永氏もオケも基本的に上品で温かみをたたえているのですが、民族的なヒンデミットよりもストレートに反戦・反ナチを込めたハルトマンだからでしょうか、ゾッとするような金属的な表現(第3楽章など)や苦渋の祈りを思わせる第4楽章がシリアスで心に迫りました。 プラハの第1楽章は最も好きなモーツァルトの音楽の1つですが、今日の演奏は多少弛緩があったか。テンポよく音色も美しいのですが、だんだん合奏のズレやtuttiの粗さが露見してきます。第2楽章はもっと歌を込められたのでは。また、バロックティンパニは大好きなのですが、要らない所で叩きすぎて煩い時がありもったいなく感じられました。アンコールのキャプリオールは優しい心温まる演奏でグッドチョイス。 安永氏は緊張感のあるザッツとオケに溶け込む奏法を巧みに駆使し“リードしないリード”とでもいうべきさすがの存在感でした(弓を振る時もありました)。また、今日の紀尾井メンバーで特筆すべきはベース。錚々たるVcも安定感抜群でしたが(河野・菅野・林・丸山各氏)、河原氏と池松氏2人のCbは巧いうえに音色・音量が驚くほど豊か。演奏の格を数段引き上げる見事なパフォーマンスでした。 今年は指揮者無しの楽団をよく聴きました。水戸・紀尾井・OLC等、日本には世界級のシンフォニエッタが多いことに思い当たります。運営上の理由からもこの国に合っているのでしょか?来年も素晴らしい室内管弦楽と出会えることを祈りつつ。
by mamebito
| 2008-12-14 00:44
| コンサートレビュー
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