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モーツァルトのピアノ協奏曲では25番が一番好きです。好きな曲を、好きなピアニストで聴く悦び。
♪モーツァルト/ピアノ協奏曲第25番、 同第9番「ジュノーム」 Pf:アルフレッド・ブレンデル サー・チャールズ・マッケラス +スコットランド室内管弦楽団 (録音:2001年7月3~6日、アッシャー・ホール(エジンバラ)) 2008年12月をもって第一線の演奏から引退するブレンデル。最も好きなピアニストの1人だけに寂しい限りです。 忘れられない小さな思い出があります。8年ほど前、ベルリンのフィルハーモニーでアバド+BPOとのベートーヴェン/ピアノ協奏曲第1番を聴く機会がありました。その時の、今まで耳にした音楽は何だったのか?と思う程の異次元の演奏は衝撃でした。感激のあまり休憩中に舞台裏へ飛び込んだら、角を曲がった所でブレンデルとバッタリ(笑) 一瞬言葉を失った私の驚きをオーバーアクションで真似ながら鼻歌交じりにペンをとりサインをしてくれました。「クラウディオ~」と口にしながらマエストロ・ルームへ消えて行った大柄な後姿が忘れられません。 そんな私的な思い入れがあり、その後ブレンデルの録音は相当数聴きました。中でもこの25番は出色。一聴すると祝祭的で愉悦に満ちた作品から、その背後に練りこまれた残酷なまでに強烈な憧憬や焦燥をさりげなくあぶり出しいる名演だと思います。そうした直截的(身体的)な感銘は音楽ならではの魔力であり、ブレンデルは老いてますます言葉にできない魔法を自在にあやつる数少ない音楽家ではないかと思います。 さて、このディスクではブレンデル自作の即興的なカデンツァを用いています。これを小細工と感じる人もいるかもしれませんが、私はモーツァルトのシンプルなスコアの厳しい制約の中でギリギリ許される“遊び心”が、深刻なアプローチに天使的な救いを与えていると感じます。まだ今ほど衰えていない研ぎ澄まされたタッチには力感があり、マッケラスの颯爽として真摯な伴奏が演奏の格調を支えます。ジュノームも雑念を削ぎ落とした若々しい名演。 そのキャリアのわずかな最期であっても、ブレンデルの音楽をリアルタイムに享受できることは幸運だと思っています。
by mamebito
| 2008-08-10 00:20
| 録音
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