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2008年6月14日(土)18:00~ NHKホール
マッシモ・ザネッティ+NHK交響楽団 Pf:マルティン・ヘルムヒェン ♪ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番 ♪モーツァルト/ピアノ・ソナタ第12番~第2楽章(アンコール) ♪プロコフィエフ/バレエ組曲「ロメオとジュリエット」~モンタギュー家とキャピュレット家、ある場面、朝の踊り、マドリガル、少女ジュリエット、仮面、ロメオとジュリエット、タイボルトの死、ロメオとジュリエットの別れ、西印度の奴隷娘の踊り、ジュリエットの墓の前のロメオ、ジュリエットの死 ザネッティ氏の音楽、N響初登壇のマーラー5番の放送を聴いても思いましたが、その作品に初めて出会った時のような新鮮な印象を引き出してくれるように感じます。どうしてだろうと考えてみると、すっきり見通しのよい音作りと、中声部を浮き立たせる独特のバランス感覚にあるのかなと思い当たります。ベートーヴェンの弦などノンヴィブラートとヴィブラートたっぷりの太い音を使い分け、いわゆるドイツ的なピラミッドバランスとは異なり、スコアに応じて声部の均衡を造り変えて行きます。客演でいったいどんなリハーサルをするとこういう音造りができるのかと不思議に思うぐらい。 というわけで、ベトPf4はフレッシュで聴き応えのある好演。 ピアノのヘルムヒェンは、チェロ石坂団十郎氏のデビューCDで接した時には、強音で鍵盤をひっぱたき“ご立派でなんぼ”といった大味な印象を持っていました。ところが、あれから数年経たからか録音のせいだったのか、今日の実演では“ハイレベルな中庸”を具現化した素晴しいピアニズムを聴かせてくれました。 ライヴゆえ多少のミスはあるにせよ技術の確かさは間違いなし。加えて、ドイツ的なザッハリッヒなテンポ感を基本にしつつ、ルバートや一瞬のパウゼが適量で音楽の流れがたいへんよい。ゆえに、第2楽章も中堅の気鋭奏者にありがちな表面的味付けは皆無で、主張するオケと瞑想するピアノの対話が有機的に結びつき、少ない音符の行間に音楽が流れます。これは見事!ただアンコールのモーツァルトは、冒頭の美しさにハッとさせられたものの進むにつれて耳に付く恣意が混じりはじめ、最後には「このアンコールで何がしたかったの?」とちょっと疑問は残りましたが。 プロコはN響の機能美が光る演奏。ロメジュリはMTTのようにバレエ版と組曲から再編する指揮者も増えて、どの曲をどう並べるかプログラミングセンスの妙も好悪を分かつところ。ザ氏の選曲は好感で、有名曲を押さえつつ朝の歌・仮面・マドリガルといった粋な小品も気を抜くことなく聴かせ、墓前→死→和解までしっかり描いてくれました。しかし同時に、ライヴでストーリーどおりの選曲を聴かせる難しさも感じました。広上やミョンフンetc、同様のライヴは何度か聴いてきましたが、その度に思うのは「タイボルトの死」で会場が音響的クライマックスを迎えてしまうこと。その後は舞台と会場の双方がよほど集中を保たないと、音楽的には一番濃密な墓前以降が薄まってしまう傾向があるように思います。 今回もそのパターンで、別れと奴隷踊りで会場はトーンダウン。オケも前半の冴え冴えとした緊張感が薄れたまま終わったように感じました。でもタイボルトの死まではお見事で、例えばロメオとタイボルトが剣を交えるVn・Vaの聴かせ所など、身が詰まってエッジの効いた音色が活き活きと心象を再現して引き込まれました。1,500円でこれだけ楽しめれば満足。カーテンコールは素直に拍手でした。
by mamebito
| 2008-06-14 23:12
| コンサートレビュー
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