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2016年8月5日(水)15:00~ ミューザ川崎シンフォニーホール
川瀬賢太郎+神奈川フィルハーモニー管弦楽団 Vn.﨑谷直人 Va.大島亮 Sop.髙橋維 ♪モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲、協奏交響曲K.364 ♪R.シュトラウス/「私は小さな花束を編もうとした」「明日には!」「セレナーデ」「万霊節」、歌劇「ばらの騎士」組曲、同~ワルツ(アンコール) 真夏の午後に、評判のコンビで真っ当なモーツァルトとリヒャルトなんて、一昔前には望みようもなかった好プログラムだな、サマーミューザ素晴らしい!・・・と思っていられたのは「ばらの騎士」を聴くまで、正確には最後の schneller walzer に至るまでの話だ。 若いソリストが真摯に奏でた中間の2曲が素晴らしかった。特に﨑谷さんと大島さんのソロは絶品。自分がウェールズQを好きなのは、四人ならではの一体感に加えて、﨑谷さんの1stヴァイオリンの魅力が大きい。彼が奏でるK.364は、端正で真面目な裏側に極端な純粋さと猥雑さが見え隠れするようで、ピュアでエロく(笑)、作品(と作曲者)の一面を鮮やかに描き出していた。さらに大島さんのヴィオラは、クリアでありながら音色は常に太く深い。二人が奏でるデュオのカデンツァは、ただただ聴き惚れるばかりだった。 ソプラノの高橋さんは美声の持ち主で表情も十分。声量が小さく声色も多くないので、オーケストラをバックに頑張るよりも、サロンのような空間でリラックスして歌われたら、さらに彼女の美点を聴くことができるのではないかと想像した。 そしてバラキシ。失礼ながら、十数年前のかなフィルさんからは想像できないほど響きがクリアでびっくり。豊田さんをはじめホルンが達者だし、弦のソロは味わい深いし、カンタービレはリヒャルトらしくないものの献身的で、聴き応えのある時間が過ぎていった。ところが、最後のワルツ、練習番号66の前でパウゼを取るのはアリだとしても、あそこまであざとく空けてしまっては・・・さらに続くワルツのリズムをアウトオブテンポで強調し・・・言葉で書けばそれは趣向の1つとして有り得るのだけれど、説明的に、敢えてばかばかしく強調されるそれらのデフォルメは極端に品を欠き、日本人による日本人のために曲解されたリヒャルトといった風を呈してしまった。この日の全てをぶち壊したと言っても過言ではないだろう。アンコールは、さらに悪ふざけが過ぎていたたまれなかった。 分かり易い主張と、それを伝える腕っ節の強さは優れた人だと思うけれど、目を閉じて聴こえる音楽はダサかった。敢えてダサくして諧謔を狙ったのだとしたら、狙い方が直接的すぎてなおさらダサい。今回のバラキシにおいて、残念ながら川瀬さんは行き過ぎてしまったと思うし、楽団は行き過ぎを食い止めたり懐柔できなかったように感じた。 川瀬さんを初めて聴いたのは2007年11月4日、東京音大100周年記念ホールにベロフを迎えて学生オケを振った時。その際の感想手帳にこんな印象が記してあった。「学生から尊敬されていることが見ていて伝わったし、統率力はありそうに見えた・・・(中略)・・・活きはいいけれど表面的な刺激を追い求めているみたいで興ざめした」。川瀬さん+かなフィルのコンビは、機能面とコミュニケーション面で上手くいっていると感じたし、現在のかなフィル弦セクションの1プルトは大好きな演奏家さんが並んでいてとてもよい雰囲気なのだけれど。県立音楽堂で秀美さん再客演とか、弦トップの皆さんによる室内楽とか、かなフィルはしばらくそういう限定的な鑑賞の仕方で接していくしかないと思った、残念ながら。
by mamebito
| 2016-10-30 23:31
| コンサートレビュー
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