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2014年5月4日(日)18:00~
よみうり大手町ホール Pf.アブデル・ラーマン・エル=バシャ ♪ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第30番、第29番「ハンマークラヴィーア」 演奏家目当てで選んだ今年のLFJ東京3公演、最後はエル=バシャ。ラヴェル作品集や大野さん+モネ管とのプロコフィエフなど、録音を愛聴しているピアニストながら、Liveは初めて拝聴した。 両曲とも一貫して、拡張の高い、背筋がピンと伸びるようなベートーヴェンだった。かといって近寄り難いしかめっ面ではなく、とても上品なのだ。自分は「上品」という言葉を「ラグジャリー」とは全く別の意味だと認識している。佇まいが野卑ではなくガサツではないのであって、当然ながらたくましさや力強さとも両立する物事の態様だと思っている。そうした自分が考える「上品」にぴたりと合致する音楽の運びであり、タッチであり、弾き姿だった。 30番の内省的で意識の通った様子も心に沁みたが、ハンマークラヴィーアでは全曲を強い意思のようなものが貫いていたと感じ、とても心打たれた。第3楽章のアダージョは、Op.127以降の弦楽四重奏曲の緩徐楽章を想起させて深遠だ。それを恣意性を排除して淡々と、しかしながら通底する途切れぬ意識が冒頭からの音楽を最後まで繋いで、強靭な首尾一貫性を実現していたと思った。彼にとって最高のパフォーマンスだったかは定かではないけれど、毎回身を削るような会心の演奏に接していたら聴く方としても疲れてしまうわけで・・・この日の十分に心揺さぶられ、しかも肌にしっくりと馴染む演奏はとても染み入るものがあった。 ところで開演前、有楽町からホールへ向かうシャトルバスの中でエル=バシャのお姉様と偶然同乗した。通訳かコーディネータの日本人女性と一緒で、他の同乗者と軽く話されているのを隣で聞いていただけだけれど、朗らかで上品なお人柄が伝わる様子は、弟さんの音楽とそっくりだと思った。さらに同じバスにはたまたまマルタン氏も同乗。前公演(音楽の捧げもの)へのお礼の気持ちを忍ばせつつ、LFJらしい遭遇の楽しさも満喫できた記憶に残る公演だった。 最後に、3月にオープンしたばかりのよみうり大手町ホールについて。端的に言うと、よほど気になる演目と演奏家の組合せでもない限り、この箱で聴くことは選ばないかなあ・・・残念ながら。ややデッドで広がりに欠ける響き、かといって親密さを感じるわけでもない舞台との距離感。座席にはカンファレンスを想定してかPCテーブルとコンセントが付属していて目障り、背筋を矯正される座椅子も居心地良いとはいえない。
by mamebito
| 2014-06-27 23:44
| コンサートレビュー
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