タグ
レビュー(602)
オーケストラ(412) LFJ(76) ピアノ(62) 室内楽(58) アマチュア(52) チェロ(50) 都響(44) 弦楽四重奏(44) N響(36) CD(35) 東響(28) 新日フィル(26) 交響曲(23) ヴァイオリン(19) 以前の記事
最新のコメント
最新のトラックバック
お気に入りブログ
外部リンク
記事ランキング
検索
最新の記事
ブログジャンル
|
2014年4月3日(木)19:00~ 東京文化会館(小)
Vn.長原幸太、西江辰郎 Va.鈴木康浩、大島亮 Vc.上森祥平、奥泉貴圭 ♪ドホナーニ/弦楽三重奏のためのセレナード ♪ブラームス/弦楽五重奏曲第1番 ♪チャイコフスキー/弦楽六重奏曲「フィレンツェの思い出」 ♪J.シュトラウスⅡ/「雷鳴と電光」(アンコール) 震災直後のブラームス六重奏公演がたびたびNHKで放映されて反響を呼び、一躍東京春祭の目玉の1つとなった本シリーズ。コアの4名(長原さん、西江さん、鈴木さん、上森さん)を中心に、演目によってメンバーを足したり引いたりしながら、毎年生き生きと精彩に富むアンサンブルの贅を味わわせてくれる。この公演を、今回は幸運にも最前列中央で浴びるように堪能してきた。 どの作品も音色美しく、切れ味鮮やかで、精彩に富んだ。ドホナーニは踊りのリズムとカンタービレが、独特の味わいをもって奏でられた。あえて綺麗に弾かないことで土臭さや生命感を醸し出す演奏もあるけれど、この日のお三方は技術的にも表現的にもソフィスティケートされた中で、男っぽい歌い口や力強さが作品を引き立てていた。ブラームスは上森さんの木目調で柔らかい音色、包み込むような響きの拡がり感、音量と音色の繊細なグラデーションが印象的。太くたくましいだけで塗りつぶされたようなステレオタイプのブラームスとは一線を画する。緩徐楽章の叙情の移ろいは、時にシューベルトのようにあやうく惹かれるし、アレグロには新緑のように爽やかな推進力を感じた。 休憩を挟んで6人揃ってのフィレンツェ。そういう曲ではあると分かっていても、冒頭からロマンティシズムの渦に飲みこまれる。その渦の中で何に心打たれるかというと、シリアスな感情の襞でも濃厚なパヒュームでもなく、ちょい悪で少々いかがわしいがゆえのカッコ良さ(笑)。いや、別に1stVn長原さんのことではなくて、演奏全体に粋が感じられて、それは異国への憧れが満載された作品の表出として大正解であり、しかも誰にでもできる表現ではないと思った。 アンコールは恒例のノリノリ編曲もので喝采をさらった。クールに見える奥泉さんが体をブルブル震わして雷鳴を奏でたり、鈴木ヤスさんが裏打ちをブンブンふりまわしたり、バルトークpizzをしくじった長原さんが「ちきしょっ」と口走ったり(笑)。室内楽の演奏会でこれほど楽しく盛り上がった経験は久しぶり。終演後に演奏者の方にご挨拶した時、汗だくのままホンワカした雰囲気で現れる方や、舞台を降りても上下黒でスキッとしている方や、近所からひとっ走りしてきた風にカジュアルな方など・・・皆さんの気取らない個性が垣間見られて一段とこのアンサンブルが好きになってしまった。来年も心から楽しみだ。
by mamebito
| 2014-05-16 22:21
| コンサートレビュー
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||