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2014年2月10日(月)19:15~
大田区民ホール・アプリコ(小) Vn.加藤のぞみ Pf.河野航 Timp.由谷一幾 ♪伊福部昭/ヴァイオリンとピアノのための2つの性格舞曲 ♪早坂文雄/室内のためのピアノ小品集~第1・2・10・6曲 ♪チェレプニン/2台または3台のティンパニとピアノのためのソナチネ ♪サティ/右と左に見えるもの~眼鏡なしで ♪伊福部昭/ピアノ組曲、ヴァイオリン・ソナタ この日の出演者は、普段私も一緒に音楽をさせてもらっている楽団のメンバー。お三方とも楽団を引っ張るリーダーではあるけれど、仕事は演奏とは別、24時間の大半を別のことに費やされている。その仲間が個人で演奏し、その演奏に掛け値なしに心揺さぶられた。 どなたの演奏も、時間をかけて作品に向きあわれたことが感じられて、そういう意味での温かさが滲んだ。甲乙つける意味ではなく、その中で特に印象に残ったのはチェレプニンとピアノ組曲だった。 チェレプニンは、音程のある楽器とはいえ、打楽器群に類別される2台のために書かれた珍しい編成。音楽の骨格や旋律的な断片は、基本的にピアノが作っていき、ティンパニは音量と硬軟でモノクロームのグラデーションを施していくイメージ。そして時に切迫感を生んだり、訴求力の強い楔を打ち込んだりした。持続音の維持がしにくい2つの楽器にもかかわらず、お二人の演奏には縦の正確さだけでなく横のフレーズの流れまで感じ取れて、特にクライマックスに向けて積み重なる緊迫感にはしびれた。 ピアノ組曲は、これほど「身体に入ってるな~」と感じた演奏は初めて聴いたかもしれない。自家薬篭中という言葉がぴったり。正確であること、円やかで粒の立ったタッチであることも魅力ながら、それ以上に「この部分はこういう意味だったのか」という練られた表現の連続に驚いた(例えば「七夕」のリズムなど目から鱗)。会場の空気にも、こういう曲のファンが集っているだろうとはいえ、惹きこまれている様子が伺われた。私の経験の範囲では、昨年聴いた野田晶子さんの瑞々しく鮮やかなLiveと双璧をなす、同曲の忘れ難い演奏の1つになった。 ちなみに、探楽愉快のシリーズは今回で4回目。プロデューサーは同じ楽団の音楽顧問だ。メモリアルの伊福部と早坂を中心に、エピソードのある作曲家を組んだコンセプチュアルなプログラムも秀逸。林淑姫さんからは寄稿を得て、演奏に際してはVn.小林武史氏やPf.三輪郁氏から直々にアドヴァイスをもらったというからオーセンティックだ。自分にはこういう企画も、コーディネートも、もちろん演奏も出来ない。でも、音楽表現を職業にしていなくても、発展的なコンセプトと高度な演奏で、身内以外の音楽ファンにまで広く「いい感じ」のひと時を提供できる音楽家がいるということは、とても心強いし敬意を禁じ得ない。お世辞でも太鼓持ちでもなく、一音楽ファンとして、次回の企画が楽しみだ。
by mamebito
| 2014-03-15 23:38
| コンサートレビュー
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