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2011年5月22日(日)14:30~ 東京文化会館(小)
鈴木秀美+オーケストラ・リベラ・クラシカ fp.クリスティアン・ベゼイデンホウト ♪ハイドン/交響曲第84番 ♪ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第2番 ♪モーツァルト/交響曲第40番 ♪シューベルト/劇付随音楽「ロザムンデ」第3幕間奏曲(アンコール) 古典もの以前の音楽は、作曲当時の楽器やピッチによる演奏に親しんできたが、この40番だけはそうしたアプローチでピンと来た例が少なかった(好んで聴くのはミンコフスキ+ルーブルの録音ぐらい)。モツの後期交響曲の中で特にシンプルな(ゆえに深い)作品であるのに、策を弄している演奏が多いように感じていたのだ。しかしこの日のOLCは違った。 直截的に語りかけてくる演奏とでも言おうか。第1楽章Vaの律動からものすごいハイテンポとハイテンションで、ジメジメした想い入れを挟む余地がない。かといって激情をひけらかすわけではなく、真摯に突き進むような叙情が胸に迫った。第二主題までを一息で聴かせるなど大きな流れが明確、木管を引っ込めたり引き出したり声部のコントロールは必要最低限で至って自然、sfは深くえぐった。第二楽章の遅過ぎず流れ過ぎない絶妙のテンポ感は、マエストロがVcを持った時のコンティヌオを彷彿とさせる。最終楽章は逆にやや遅めで声部の噛み合わせをカッチリと浮かび上がらせると、どんな揺れにも崩れないような作品の完璧な構造美も表出された。数年前まで淡白な印象を持っていたOLCは、鈴木秀美さんが描くニュアンス豊富で迫真の音楽を再現し得るオーケストラに進化していた。 冒頭のハイドンは嬉々として躍動的。両端楽章で序奏から主部に移った時の輝かしさなどまぶしかった。「ほら嬉しいでしょ!」などとハッキリ言わなくても、音楽はこうして愉悦を届けてくれる。その最たる例のような演奏だった。 さらに圧巻だったのがベゼイデンホウト。これほど卓越したフォルテピアノ演奏は初めて聴いた。古雅な宝飾の響き、といったらチープで言葉には表しきれないほど、タッチは洗練と繊細を極めた。両端楽章のtuttiではソロも通奏低音的に合奏に加わる。第1楽章の自作カデンツァは劇的で強く惹かれた。さらに白眉は第2楽章。こんなにニュアンスが溢れ幽玄なまでの幸福感が表出されるとは。地味な印象のベトPfコン2番が、ここまで精彩に富む音楽だったことに初めて気付き、目から鱗が落ちた30分に心から拍手を送った。 コッポラ氏やツィパーリング氏といったOLCのスター助っ人が来日を取り止める中、邦人メンバーが素晴らしい演奏を堪能させてくれた。特にCl.山根さんのロザムンデsoloは、木の音色と歌い過ぎずない歌い方がじんわり染みてくるようで出色。懸田さん率いる3本のVcはタクトへの反応が鋭敏で精彩に富んだ。今回もアンテナ感度の高い室内楽的な関わり合いが随所で感じられて、目にも耳にも楽しい時間だった。
by mamebito
| 2011-05-29 06:56
| コンサートレビュー
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