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2011年1月26日(水)19:15~ サントリーホール
クリスティアン・アルミンク +新日本フィルハーモニー交響楽団 PfDuo.フェルハン&フェルザン・エンダー ♪ラヴェル/高雅で感傷的なワルツ ♪プーランク/2台のピアノのための協奏曲 ♪ピアソラ/リベル・タンゴ(アンコール) ♪フランク/交響曲 フランクのSymは、シベ3・5やプロコ5などと共に偏愛気味な交響曲の1つ。仏語圏のエスプリとドイツ音楽に通じる堅牢さを併せ持つが、私は前者寄りの、しなやかで感興がにじみ出るようなアプローチを好んで聴いてきた。アルミンク+新日、実は以前からそうした私的イメージにぴったりではないかと思っていた。 果たして、期待通りのフランクを堪能させてもらった。これはNJPの特性だろう、角の取れたまろやかな響きが作品に似つかわしい。例えば同じような席で聴いたメルクル+N響のクッキリした造型とは趣が異なる。一方で、作品独特のミステリオーソは影が薄く、朗らかで健康的な演奏となった。 第2楽章は、アルミンクが提示した微妙な中庸テンポよりオケが前に流れた感があった。チェリのようにもう少し踏みしめて切々と叙情を奏でるタイプの方が好みだが、悪くはない。第3楽章は中間部の頂点やクライマックスのドライブが見事。楽団は一段とブリリアントで、ズシリと音価を保つフィニッシュに至るまで充実した音楽がホールを満たした。 プーランクは、風変わりなエスプリが淡白な一方でスポーティーな演奏。Vn6型の打・金・木・弦が拮抗しあう編成で、グランド・ロマン系の前曲とは異なるピチピチ感を描き分けた。ソロはトルコ出身の若い双子姉妹、赤と黒のドレスで登場し美しく人懐っこい所作で客席を一瞬で魅了。指はよく回るもののタッチが弱く少々物足りなかったが、カーテンコールの華やかな雰囲気に客席はオーライ(笑)。彼女達の演奏、切れ味とリズム感が光ったアンコールのような曲を、クラブみたいな小空間で聴けばきっと秀逸だろうと思った。 冒頭のラヴェルは、楽団がまだ十分には鳴らない中で丁寧に音を紡ぎつつも、要所で切れ味の良いアタックを効かせて鮮やかにさばいた。幾分まじめというかストレートすぎるきらいはあったが、スッキリとして外連味のないアプローチは快かった。 NJPはさすが音色が優美でしなやか。Ob族でピッチが合わない時と、フランク終楽章の金管に若干張りとパワー不足を感じたが、後者は美演とのトレードオフと思えば仕方ないか。それにしてもアルミンク、挙動がなんと溌剌として爽やかなことか。終演後、こちらまで髪をかきあげキビキビと歩きたくなってしまう(笑) この日は、特別に記憶される奇跡的名演ではなく、無数の音楽会の1つとして時間と共に過ぎていくのだろうけれど、こうした良質な生演奏を当たり前のように楽しめる現在(いま)の日常自体が1つの奇跡かもしれない。ふとそんな有難さを抱きながら、フランクの後味を大事に噛み締めた。
by mamebito
| 2011-01-28 01:12
| コンサートレビュー
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