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2010年10月23日(土)14:00~ サントリーホール
尾高忠明+日本フィルハーモニー交響楽団 Chor.晋友会合唱団 Bar.三原剛 ♪オネゲル/交響詩「夏の牧歌」 ♪ラヴェル/組曲「マ・メール・ロア」 ♪ウォルトン/オラトリオ「ベルシャザールの饗宴」 鳴り物の真後、合唱の真横、金管バンダの真下…という強烈な座席だったので本当のバランスや精度は計り知れなかったけれど、たいへん充実した「ベルシャザール」であることには間違いなかった。 尾高さんと言えば、英国モノから類稀な質感と感興を引き出し得る名匠というだけでなく、ブルックナー・ラフマニノフ・エルガーといった管弦楽大作や、「ピーター・グライムズ」のような合唱付大規模作品の捌きが冴える、という印象を持っている。 この日の「ベルシャザール」も、上述の座席で拝見するタクトは無駄がなくとても分かりやすい。離れたバンダにもいいタイミングでキューを飛ばし、合唱は共に歌詞を口にしながら導き、求心力の高い存在感で全く弛緩なく巨大な音楽をまとめ上げていた。特に後半、ベルシャザールの劇的な死からアレルヤのフィニッシュに至るまでの一糸乱れぬ緊迫感とスケールは圧巻だった。合唱も尻上がりに子音の切れ味と声量のたくましさを増し、三原氏の独唱は安定して力強かった。 ところで尾高さんの英国モノには、このような大曲であっても角が取れてノーブルな“黄金色”の印象を覚える。「ベルシャザール」はラトル+バーミンガムの切れ味抜群で鮮明を極める演奏も大好きだが、尾高+日フィルの響の方がずっと英国臭が漂っていたのだから不思議である。同曲のオーセンティックな名演奏だったと思う。 一方で、前プロはやや物足りなさを感じた。尾高さんが創る前向きなテンポ感と優しいタッチは良い。弦の音色やCl伊藤さん・Hr福川さんを始めとしたソロも申し分ない。しかし、タクトに対する感度にオケの中でバラつきが感じられた。また全体に薄味な印象も拭い得ない。前プロに関しては、良きにつけ悪しきにつけ、学生時代によく聴いた淡白で茫漠とした日フィルのフランスものを懐かしく想い出すことになった。 なお、プログラムからして当然全曲版だと思っていた「マ・メール・ロア」が組曲だったので、総演奏時間60分程の短い公演だった。しかし、終演後まるで時間の物足りなさ感じなかったのは、充実した「ベルシャザール」のおかげに他ならなかった。 ※余談:サントリーで視覚聴覚(+触覚)を満たした後は、アークヒルズのカレー「FISH」で味覚嗅覚を満たして五感コンプリートするのが常。この日は日替わり「茄子とジャガイモとチキンのカレー」が、いつものソースに具沢山で美味だった。その後チェロを担いでアークヒルズを出ようとすると、チラシ束を手にした見知らぬご夫婦に「やー素晴らしかった!」と笑顔で声をかけられ(笑)さらに帰りのバス車内では晋友会の方らしき黒服の男性に「素晴らしかったですね」と同士の労いの言葉をかけていただき…(笑)。終演後楽器を持っていると時々こういうことはあるけれど、立て続けに二度というのは稀。それだけこの日の演奏が充実していた証ですね、尾高さん&日フィルさん!
by mamebito
| 2010-10-25 22:31
| コンサートレビュー
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Comments(2)
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by
TM
at 2010-10-26 01:52
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「五感コンプリート」っていいですね。五感コンプリート欲があるから、飲兵衛はいい音楽の後お酒が飲みたくなるのかもしれませんね(笑)
カーネギー小ホールでのカルテット公演の後、よく無料のお酒が振舞われます。ワインかビールですが、カリフォルニアのカベルネは十分おいしいです。先日のアルカントQの後もパーカーQの後も、しっかりいただきました(笑) パーカーは皆若く、背伸びしているという感じでした。ドヴォ糸杉、リゲティ1、ベトOp.131の、毛色の違いや生身のリアリティを描き出すには至っていなかったと思います。 パシフィカQは音量音色ともにソフトで、アクのないショスタコでした。外に向かうエネルギーが希薄で、内輪のノリになりがちだった気がします。チクルスの残り3回でどのように変わっていくか、楽しみです。
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mamebito at 2010-10-30 01:25
TMさん、お返事遅くなりすみません。
五感コンプリート欲、例えばコンサート休憩中にコーヒーを飲みたくなるとか、色々なところに波及するような気がします。今夜はアーノンクール+WCMの「天地創造」にすっかり打たれてきたのですが、サントリーと言うことで、例に漏れず上述のカレーを堪能してしまいました…このままでは確実に肥る(笑) TMさんのコメントを拝見して得心がいったのですが、1つ上のエントリーで終演後に無料でワインを頂いた際、なんと太っ腹なと思ったのですが、欧米の室内楽的な集まりでは結構あることなのでしょうかね。聴取だけでなく演奏者の方もきっとメリットのある、win-winな習慣なのかもしれないですね。 若手Qのご感想ありがとうございます。パシフィカQは確かカーターの四重奏曲集を録音していますよね。非常に気になっていました。スケールやパッションに欠けるけれど精緻で温かい感じの四重奏団、とコメントを拝見してお見受けしました。チクルスがあるのですね、レパートリーも広いようですし楽しみですね!
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