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2010年8月14日(土)18:00~ フィリアホール
Va.清水直子 Pf.オズガー・アイディン ♪ヒンデミット/ヴィオラ・ソナタ Op.25-4 ♪J.S.バッハ/カプリッチョ「最愛の兄の旅立ちにあたって」 ♪ブラームス/ヴィオラ・ソナタ第2番 ♪ホリガー/無伴奏ヴィオラのためのトレマ ♪クラーク/ヴィオラとピアノのためのソナタ ♪J.S.バッハ/ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ第3番 ~第3楽章(アンコール) ♪クラーク/ヴィオラとピアノのための小品 ~“I'll bid my heart be still”(アンコール) この夫妻デュオの魅力は、卓越を極める清水さんのヴィオラだけでなく、アイディン氏の繊細なピアノによるところも非常に大きいと思う。今回、欧州では「バッハ弾き」としても認知されているというアイディン氏の本領が聴けたのは嬉しかった。 「カプリッチョ」における極めて繊細なタッチと透徹した響は、この佳作の親密な性格にベストマッチだった。昨年LFJで聴いたヌーブルジェと北村朋幹さんによる演奏もそれぞれ魅力的だったが、アイディン氏はより自家薬籠中にしているようで、タッチと響を自在に操り美しく磨かれたバッハを奏でた。目をつぶるとシフを想起させるような。アンコールのソナタでも、全くもって安心できるフレキシブルなバックでヴィオラを盛り立てた。 清水さんは圧倒的だった。長身を大きく揺らすダイナミックなボウイングは、表現幅が驚異的に大きい。また、ヴァイオリンのように細部までクリアに鳴り自在を極める。加えて、緩徐部分など白磁器のごとくツルリとしなやかな表情も聴かせてくれる。 エッジの効いたヒンデミットも輝かしい演奏だったが、Vnソナタから曲目変更になったブラームスはさらに非の打ち所のない美演。晩年の浪漫を、冬枯れた叙情というよりは伸びやかなカンタービレで春色に染めた。清水さんが傾倒しているクラークは、親しみ易い“英国ノスタルジー”を基調としながらも、例えば点描のような動機が遠景では像を結んだり、ほどけた旋律線が時を経てコラージュのように統合したりと、構造的にも飽きさせない。確かにもっと聴いてみたい作曲家だと思った。 ホリガーの「トレマ(震え)」は奏者と聴衆に10分程の高度な緊張をもたらす難曲。終始高速で刻まれるボウイングは、クラム「ブラック・エンジェルズ」冒頭を想起させる。疼きのようなスル・タストから高圧着で強烈なスル・ポンティチェロまで強いるので、弓毛がどんどん切れて歌舞伎の髪洗いのごとく弓先で暴れる。清水さんは衝かれたように集中し、緊張のバイオリズムを見事に奏できった。 終演後、アイディン氏にバッハの感動を伝えたくてサイン会に並んだ。清水さんが出ない「カプリッチョ」の間、客席の弛緩と集中力の低下はあまりに失礼だったと思ったから。ゆっくりうなずきながら答えてくれたアイディン氏は、演奏だけでなく言葉にも包容力がある。その横で知人と思われる方々とあっけらかんと談笑する清水さん。いいカップルだなあ。
by mamebito
| 2010-08-23 20:55
| コンサートレビュー
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Comments(4)
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TM
at 2010-08-26 01:29
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奏法から曲の構成、演奏の風合いまで、明快にバランスよく見通されているご様子に、今回も唸らせていただきました。コメントを控えていらっしゃる多くの方も、同じようにお感じではないでしょうか。
またコンサート・シーズンが始まって、たくさんのすばらしい演奏に触れるのが待ち遠しいですね!
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mamebito at 2010-08-27 22:02
TMさん、本当に嬉しいコメントをいただきありがとうございます!TMさんにいただくNYのライブなコメントが自分はいつも楽しみです。引き続きいろいろなご感想など聴かせてくださいませ。よろしくお願いします。
9月のシーズン開始、サイトウキネンの小澤さん復帰公演で飾る予定でしたが、ニュースのとおり冒頭にチャイコ弦セレ第1楽章のみ振って本プロは下野さんにバトンタッチ。これを復帰公演と呼んでいいものかわかりませんが、それを皮切りにサロネン+VPOやヤルヴィ+ドイツカンマー、カシオーリ+庄司紗矢香にルプーetc・・・今年の秋も充実のラインナップです(笑)
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スノークの女の子
at 2010-09-12 16:13
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私も聴きに行きました!
清水さん、思っていたより可愛いキャラで親しみやすかったです。知人と談笑、に笑。 もう少しお年寄りが弾くブラームスの方が私は好きですが、文句無く素晴らしかった。彼女もまた日本の誇れる音楽家ですね。 お盆休みのせいか空席がちらほらあったのが残念でした。 余談ですが、罰当たりな事に、先日自宅でアイスコーヒーをひっくり返して、テーブルの上に置きっぱなしにしていた当公演のパンフをヨレヨレ、コーヒーまみれにしてしまいました… 大切なのは記憶ですから、清水さんも許してくださると信じています(汗)
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mamebito at 2010-09-12 23:05
スノークのお嬢さん、続けてのコメントありがとうございます!
お年寄りが弾くブラームス(笑)でも確かに、あの曲は晩年のロマン木枯れ節みたいな性格が強いですから、白髪の似合う伯父様なんかが夢中になって弾いてたりするとハマりますよね。 パンフは残念でしたね。。フィリアは別売りにせず配ってくれるのはいいんですが、あの縦長サイズは収納のおさまりが悪いのが欠点(だからテーブルの上に置きっぱなしにしておいたとか?笑)。
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