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2010年6月27日(日)14:00~ 第一生命ホール
新田ユリ+アンサンブル・フラン ♪ラウタヴァーラ/ベラ・バルトークのためのエピタフ ♪ラーション/小セレナーデ ♪バーバー/弦楽のためのアダージョ ♪吉松隆/鳥は静かに ♪バルトーク/弦楽のためのディヴェルティメント、 ルーマニア民俗舞曲~ルーマニア風ポルカ・速い踊り(アンコール) 2年ぶりに聴くアンサンブル・フラン。前回はコンマスにN響山口氏がいらしたので、弦全体が氏の音色で覆われていた。今回団員さんだけの演奏を聴いても、遜色なくエクセレントなことは賛嘆に値する。ここの弦、私が聴いた限りではアマオケで最も達者なのではないか。 tuttiの安定した音程や表現幅の広さは、プロの寄せ集め楽団よりずっと上質。夢中になりすぎて合奏を逸することがなく、熱くても冷静さを失わない大人の演奏ができる。長年コアメンバーで形成してきた“フランのスタイル・音色”がはっきりと感じられる。加えて、各パート首席陣は「トップだけプロを据えました」と言っても疑いようがない程の力量。ソロが多い本日のプログラム、素晴らしいヴィルトゥオジティで楽しませてくれた(特にバルトークでのチェロは圧巻)。 後半プログラムの充実には聴き惚れるしかなかった。大好きな吉松は、ピュアな感傷的和声があまりに美しくグッときた。持続音やソロの分散和音が非常に安定しているおかげか。皆さんとても耳が良いんだろうなあ。超難曲のバルトーク、仮に無機的に合奏が揃っただけでもアマチュアならば喝采ものだが、フランはそれだけに留まらない。表裏が入れ替わる独特のリズム感や微妙なダイナミクスの差異が明瞭で、前4曲との語法の違いがはっきりと伝わる。また、エレジーともいえる第2楽章の歌いこみ、両端楽章で垣間見られるモダニズムなど、ニュアンスにまで意識が通っている。 ニュアンスの妙は前半の北欧二作品でも光る。ラーションの森を抜ける風のような独特の音色感、ラウタの透明で淋しい湖畔のような空気感、いずれも聴き手のイマジネーションを誘う。こうした音色の微妙な変化も含めた豊かな表現は、新田さんと団員さんのセンスの賜物だろう。 バーバーでは調性の難しさからか若干音程の安定を欠いて伸びやかさも不足したり、所々アインザッツの不揃いが散見されたぐらいで、完成度の点でも堂々たる演奏だったと思う。次回は2月連休にハープを交えた弦楽作品を同じく新田さんと第一生命で。ドビュッシーやマラ5アダージェットのように色や艶のある作品をフランがどう料理するか、楽しみだ。
by mamebito
| 2010-07-02 23:34
| コンサートレビュー
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Comments(2)
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by
TM
at 2010-07-03 01:47
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まめびとさまの感想からは、本当に丁寧に大切に音色や歌を受け止めていらっしゃるのが伝わってきて、こちらも演奏の一端に触れたかのようなわくわく感や穏やかさをいただいています。
まめびとさまに鑑賞されることのできた演奏たちも喜んでるだろうなと思います。 て、変なコメントですみません(笑)
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by
mamebito at 2010-07-03 12:05
そのように仰っていただけるなんて望外の喜びです。父親のすすめで初めて聴いた演奏会(中2のGW)から毎回ノートに感想を書き溜めてきました。このblogはその延長線上でマイペースでまとめているものですが、こうしてTMさまをはじめたくさんの方とお話できるきっかけになって本当によかったと思っています。
TMさんには演奏会の感想に加えて、NYや北米の最新の音楽事情を教えていただきいつもコメントをワクワクしながら拝見しています。どうぞ今後ともよろしくお願いします。
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