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2009年12月6日(日)18:00~ トッパンホール
クァルテット・アルモニコ Vn.菅谷早葉、生田絵美 Va.阪本奈津子 Vc.富田牧子 ♪ハイドン/弦楽四重奏曲第79番「ラルゴ」 ♪クルターク/ミハーイ・アンドラーシュへのオマージュ -弦楽四重奏のための12のミクロリュード ♪ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第15番 この土日は奇しくも1995年に結成された常設アンサンブルを堪能する週末になりました。最近アルモニコが毎年のクライマックスに置いているトッパン定期は、7月のサロン・テッセラを上回る一体性の高いアンサンブルで晩秋・初冬にふさわしい趣ある音楽を愉しませてくれました。 アルモニコの魅力は、均質性の高い合奏と繊細な音楽造りだ、と思っています。この日はいつにも増して創りが丁寧で、どの作品もしっとりとした後味がとても好印象でした。加えて、夏に楽器をかえて師匠の下ハンガリーでみっちりコンタクトを高めた(以上、チェリストまっきーのブログによる)というチェロ富田さんの音色がすこぶる豊かで精度も高く、カルテット全体のスケールや音色の肌触りを高みに引き上げていたと思いました。 ハイドンはたいへん瑞々しくアルモニコの真骨頂。闊達な第1楽章で温まった後の第2楽章ラルゴ、流れが良い構築の中で十分な起伏があり、音色も語るようで惹きつけられる魅力がありました。終始凛とした緊張感と伸びやかさがあり、溶け合いから各声部のフォーカスまでバランス・コントロールもさすが、心躍る名演奏でした。ウィーン国立音大&藝大共同プロジェクトのハイドン弦楽四重奏曲全曲録音に参加しているアルモニコ、その成果が抜群に発揮されたというべきか。 クルタークは…ハイドンから一変して客席に居心地悪そうな空気が漂い(笑) それは曲のせいで、演奏は優れたものでした。過去に聴いたハーゲンのライヴなど、ゾッとするような不協和音と特種奏法の響の魅力にゾクゾクしたものですが、アルモニコは質感が柔らかく、絹糸が麻糸になったぐらいの硬さ・粗さで清々しくさえある。不協和音はあまりきつくならず美しい。こういうクルタークもいい。 ベートーヴェンは各楽章高い集中で導入し、曲中一音もおろそかにしまいとするような非常な緻密さと豊かな響きで作品の特別性を顕にしていました。第3楽章は持ち前の瑞々しさに加えて、コツコツと真摯な歩みの末に山場で想い溢れるというような語り方に強く引き込まれました。第5楽章の冒頭は極めてしっとりと上質な哀感を表現します。最後まで声を荒げず丁寧に歌いこむアプローチにより、作品の内省的な側面と歌謡性を表出した秀演だったと思います。 上記のような演奏の性格に加えて、客席は関係者やその知人が多かったようで、様子を伺うような大人しい拍手が占めて各曲あっさりと袖に帰してしまったのは少し寂しかった、ハイレベルな演奏だっただけに。
by mamebito
| 2009-12-08 21:06
| コンサートレビュー
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Comments(2)
初めまして
昨夜、名古屋・宗次ホールでクァルテット・アルモニコの演奏を聴きました。 今回、彼らの演奏を初めて聴いたのですが、アンサンブルの質の高さに驚かされました。 今後、注目していこうと思います。
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Commented
by
mamebito at 2010-08-01 22:52
ひろさん、はじめまして。コメントいただきありがとうございます!
blog拝見しました。本当に仰るとおりあのアンサンブルの質、質感は他ではなかなか聴けない美点ですよね。 2006年にチェロが富田さんにかわってからしか聴いたことがないのですが、きっとさらに進化していくのだろうなと私も注目しています。今年もトッパン定期を聴きに行きたいと思っています。
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